- 著者
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今井 民子
- 出版者
- 弘前大学
- 雑誌
- 弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, pp.65-71, 2002-10
本稿は近代音楽史学の礎となったJ.ホ-キンズとC. バーニーの『音楽通史』に関して,特に18世紀の各国の音楽に対する両者の見解を比較検討するものである。その結果,明らかとなったのは,ホ-キンズの保守的音楽観とバーニーの進歩的音楽観の相違である。すなわち,バーニーは大陸音楽紀行の成果をふまえ,18世紀の新しい潮流を視野に入れて各国の音楽をとらえているのに対し,ホ-キンズは斬新な音楽よりも,コレツリやジェミニア-ニに代表される古典様式の音楽に音楽発展の完成をみていた。ホ-キンズが『通史』で示した古楽復興-の強い関心は,彼の保守的姿勢のあらわれであり,彼はその中に,音楽のアマチュアリズムの確立と,古典的趣味の育成を求めていたといえよう。