著者
山田 正夫
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.75-79, 1958-03

Recently Hirano has presented new theories about the mechanism of the age hardening phenomenon. They are summarised as follows: The G.P. zoaes formed during the low temperature ageing are shown to be neither the nucleous of the stable precipitate nor the transition precipitate and then G.P. zones are produced even after the precipitate phase has appeared. In this report this theory is established successfully by means of reversion treatment using light alloys. Al-4%Cu alloy is shown the reversion phenomenon at the stages of the initial and the secondary rise in the agehardening curves, but the same alloys added little amount of third element In or Cd, which are extremely retarted the formation of the G.P. zones, are not shown.丁度52年前,Wilmがジュラルミンの時効硬化現象を発見して以来,この現象に関しては非常に多くの研究がなされ,殆んどその機構に関しては究明し尽されたかの感さえある。しかし乍ら,細部に汎ってその時効過程を検討した場合,未だ解明されざる幾多の問題が残されている。特に,第二次大戦後は,低温時効に関する研究,特にG.P.zoneの生成ならびにその特性に関しては極めて活発な研究討論が行われている。従来,時効過程特にG.P.zoneの生成過程について二説のあったことは周知の通りである。即ち,連続説と不連続説とであるが,最近平野氏がG.P.zone生成機構に関して新しい説を立て時効現象の統一的解釈を試みたが,この前は何れかと云うと不述続説の立場にあり,現在のところこの方がより妥当と考えられるに至っている。平野説によれば,G.P.zoneそのものは必ずしも過飽和固溶状態より生成するものではなく,その条件さえ適当であれば他の析出相の存在とは無関係に如何なる状態からでも生成し得るとし,その生成機構を転位論の立場より考察究明した。(この考え方では,G.P.zoneそのものは必ずしも時効過程に附随するものでは無い。)一方,復元現象に関しては,多くの実験結果よりG.P.zone消滅の過程であると云うことは既に明らかにされている。そこで,復元と云う立場より時効硬化機構の検討が可能な訳で,既にKöster等によって試みられた。他方,Al-Cu合金に微量のSn, In或いはCdの内の一元素を第三元素として添加した湯合,そのG.P.zone の生成は極度に抑制されると云うことも,著者等及びHardyの研究結果よりこれまた明らかな事実である。以上の観点より,著者はAl-Cu合金及び前記第三元素を添加した三元合金に復元操作を施すことにより,効果的に時効硬化機構の検討を試み,その結果,平野説の妥当性を確かめることが出来た。

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