著者
吉本 浩和
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.109-127, 1996-02

本論は、二十世紀の思想を刻印づける「言語論的転回」におけるハイデガー哲学の独自の意義を明らかにすることを試みた。言葉との対決を通して存在へと迫るという態度が直面する問題は、言葉の存在とはそもそも何か、そして言葉を通して接近される「存在」という言葉はそもそも何かという問題であり、更に、言葉の「存在」という場合の「存在」という言葉は何かということも問題になる。「言語論的転回」が首尾一貫して遂行されるためには、このような問題自身に言葉との対決を通して迫らなければならない。本論は、初期ハイデガーから中期以降のハイデガーへの思惟の「転回」を、「言語論的転回」のはらむ以上のようなアポリアへの躍入として捉え、「言語論的転回」の首尾一貫した遂行として後期ハイデガーの言語論位置づける。ハイデガーにおけるこのような「言語論的転回」の遂行は、伝統的な言語論自身を転回し、伝統的な言語論が根づく形而上学的言語空間自身の転回を目指すものであることが明らかにされる。

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