著者
西浦 郁絵 松浦 由紀子 田嶋 憲子 平田 雅子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.22, pp.49-54, 2003-03
被引用文献数
1

消毒は感染防止に不可欠であり,日常の臨床場面においても様々な場面で消毒薬が使用されている。消毒薬にはそれぞれ特性があり消毒用エタノールでは,そのほとんどがアルコールであるため揮発によるアルコール濃度の低下が起こる。保管による濃度低下を明らかにする実験は最近よく見られている。しかし実際の使用場面においてアルコール濃度の変化を調べたものは見あたらなかった。そこで使用場面に焦点をあて,消毒用エタノール綿の濃度低下が経時的にどのように起こるかを実験であきらかにした。実験の結果アルコールの揮発は精製水の2〜3倍の速度で起こっており,実験条件下において容器に保管せず露出しておいた消毒用エタノール綿では,有効濃度である65.8v/v%を35分で下回ることが明らかになり,何らかの行為に伴い気流を受けることで,さらにその濃度の低下が加速されることが確認された。消毒用エタノールの有効濃度を適正に保ち使用するためにその保管のみでなく,使用時においても露出による揮発と濃度低下を認識し,適正な消毒用エタノール綿の取り扱いが必要である。

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