著者
澤田 愛子
出版者
富山医科薬科大学看護学会
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.43-50, 2002-04

最近, インフォームド・コンセントが医療の中で大きな関心を集めている.生命倫理の視点からみると, 医療関係者は患者の同意のもとに治療やケアを行わなければならない.しかし, 患者の同意を取るに先立って, 患者の判断能力の査定が必要である.ことに対象が精神科の患者のように判断能力に問題があるとされるケースでは, この査定がとりわけ必要となる.こうした場合, この査定はどのように実施したらいいのだろうか.査定に当たって, J. F. Draneの理論が参考となる.Draneの段階的尺度モデル(Sliding Scale Model)によると, 判断能力には3段階がある.基準1は判断の対象となる内容がもっとも容易な場合で, ここで, 判断能力の査定の尺度は認識力と同意能力の有無である.基準2は判断対象の難易度がもう少し上がる場合で, 査定の尺度は理解力や選択能力の有無である.基準3は難易度がもっとも高い場合で, 査定の尺度は評価能力と理性的な決定能力の有無である.本論文において著者は各々の基準を特に精神科の患者の事例に当てはめながら考察し, 意思決定における患者の判断能力の問題に光りを当てた.精神科の患者であっても, 基準1と2においては判断能力のある場合があるため, インフォームド・コンセントはまず患者本人から取るべきである.

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