著者
坂本 亘 白旗 慎吾
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-35, 1997-05-30
被引用文献数
2

ノンパラメトリック回帰の1つの方法,スプライン平滑化について論ずる.最初に1次元のスプライン平滑化について述べる.回帰曲線の推定量を導出し,推定値の計算方法,および平滑化パラメータの選択方法をまとめる.次に,説明変数が複数の場合に,セミパラメトリック回帰モデルを論じる.このモデルは1つ(またはそれ以上)の変数についてはノンパラメトリック関数を,他の変数については線形関数をあてはめ,それらの加法性を仮定したものである.両方の成分の推定量を導出し,併せて農地実験のデータにこのモデルをあてはめる. 後半ではセミパラメトリック回帰の推定量に関する漸近的性質を述べる.Rice(1986)はセミパラメトリック回帰における線形部分の回帰係数の推定値に偏りが生じることがあると指摘した.この偏りを抑えるために,2種類の推定量が提案された.そこで,これらの推定量の偏りがどの程度抑えられるのかをシミュレーションによって数値的に比較することを試みる.その結果,偏回帰を利用した推定量は標本サイズが小さくでもある程度偏りを抑える効果をもち,他方2段階スプライン平滑化による推定量は標本サイズが大きいときのみ効果があることがわかる.

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