- 著者
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水本 龍二
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.9, pp.2175-2184, 1990-09-01
- 被引用文献数
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6
私がChildのcriteriaを用いて硬変肝ではその切除限界に大きな制約があることを示して以来,既に約20年を経ているが,今回三重大学着任後約13年間に経験した肝臓外科症例469例の臨床成績に基づいて肝臓外科における手術危険度の判定法や手術適応の拡大について検討して報告した.1)肝切除限界:肝機能面からは教室の総合的risk 4,残存肝Rmax 0.2〜0.4が限界であった.この他,活動性肝炎の所見やHBV感染,凝固線溶系機能異常,栄養状態,肝循環動態や心肺腎機能の変化なども考慮する必要がある.2)risk不良例の対策と切除成績:(1)高度凝固線溶系機能異常に対する部分的脾動脈塞栓術,(2)術前術後の積極的栄養管理とBCAAの投与,(3)PGE_1の投与による肝血流の維持などとともに術前術後に亘る慎重な集中管理を行うことによってcritical levelの症例であっても良好な長期予後を得ることができる.さらに手術適応の拡大に関する新しい試みについても紹介した.