著者
塩野 清治
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.213-223, 1999-12-25
被引用文献数
7

3次元の領域Ω内に存在する堆積物を適当な層序単元に区分することは,数学的にみればΩの直和分割を定めることに対応する.このとき,各層序単元の分布城はそれぞれ直和分割のひとつのブロックに対応する.OとAを2種類の層序区分に対応するΩの直和分割とする.OとAの間にOはAの細分であるという関係が存在するとき,Oが本来もっていた地層としての諸特性がAにおいても保存されるはずである.どのような特性が保存されなければならないのか,またそのためにはどのような条件が必要であるのか?この問題に答えるため,本論文では地層の最も基本的な特性である「地層累重の法則」を考察する.この法則を"ある地層xが別の地層yの下位にあることをひとつの露顕で観察したとき,xはyより形成時期が古いといえる"という推論規則として定式化し,この法則がOからAに保存されるための必要十分条件は"すべてのOのブロックx,yに対して,xがyより下位にあるならばf(x)はf(y)より形成時期が古いといえることである"ことを証明する.ここで,f(x)とf(y)はそれぞれxとyを含むAのブロックを表す.最終的にこの条件の下でOからA_1を,A_1からA_2を,_<…>,A_<m-1>からA_mを順次生成していったとき,すべての層序区分O,A_1,A_2,_<…>,A_mにおいて「地層累重の法則」が成り立つと結論した.以上の結果は地質学の数学的基礎を形式体系の形で確立するための重要な鍵を与える.

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