著者
西川 泰央 吉田 洋
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.123-132, 1995-04-25
参考文献数
29
被引用文献数
5

ウレタン・クロラローズで麻酔したネコを用いて, 末梢入力に対する反射性の唾液(顎下腺唾液)分泌を調べるとともに, 咀嚼運動関連中枢である視床下部外側野, 扁桃体, 大脳皮質顔面野および大脳皮質咀嚼野への電気刺激による唾液分泌を調べて, 唾液分泌を含めた咀嚼運動への上位中枢の役割を検討した. 除脳動物を用いて口腔感覚による反射性の唾液分泌を調べたところ, 通常の咀嚼時に生ずるような非侵害刺激(触刺激および圧刺激)ではその分泌は少量であった. また, 上位中枢への電気刺激によって顎運動および舌運動が誘発されるとともに, 同側優位の唾液分泌が観察された. 唾液分泌量は非動化後も変化しなかったので, 咀嚼筋からの感覚情報は唾液分泌機序に関与しないことがわかった. さらに, 大脳皮質において, 一部の口腔内感覚投射部位と顎運動および唾液分泌に関連する局在部位とは, 小範囲で隣接しているかあるいは部分的に重なっていることが判明した. 以上の成績から, 上位中枢が反射唾液分泌に修飾作用を及ぼすとともに, 食物を咀嚼するために視床下部, 扁桃体および大脳皮質が活動し, 同時に口腔内からの感覚情報がこれらの上位中枢に達するとそこでの活動が高められ, その結果唾液分泌が促進されると考えられる.

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CiNii 論文 -  咀嚼運動と唾液分泌との関連性について https://t.co/GXFAyLjq7P

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