- 著者
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尾形 武文
松江 勇次
- 出版者
- 日本作物学会
- 雑誌
- 日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.4, pp.485-491, 1998-12-05
- 被引用文献数
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6
北部九州における良食味米生産を前提とした水稲湛水直播栽培法の確立のための基礎的知見を得る目的で, 直播適性の優れた品種を用いて水稲の苗立ち密度ならびに播種様式(すじ播, 点播, 散播)が水稲の生育, 収量および米の食味と理化学的特性に及ぼす影響を検討した.水稲湛水直播栽培でのm^2当たり80本の苗立ち密度は, m^2当たり20, 40, 100, 150, 200本の苗立ち密度に比較して耐倒伏性や収量が安定して優れていた.苗立ち密度が異なる場合, 食味総合評価と有意な相関のある理化学的特性はタンパク質含有率のみであり, m^2当たり80本の苗立ち密度では精米中のタンパク質含有率は生産年や品種が異なっても安定して低く, 食味も優れていた.播種様式において, 耐倒伏性は点播が優れ, 散播は劣った.収量は点播やすじ播が優れたが散播は劣った.米の食味や理化学的特性は播種様式間で有意な差は認められなかった.これらの結果から, 良食味米生産を前提とした播種様式は倒伏による収量, 外観品質および食味の低下を考慮すると, 耐倒伏性が優れる点播が最も適し, 次にすじ播が適するが, 散播は適さないと考えられた.