著者
劉 建 辺 嘉賓 塩津 文隆 GHOSH Subhash Chandra 豊田 正範 楠谷 彰人
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.326-332, 2008-07-05
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

日本型水稲4品種の幼植物を50mMのNaClストレス下で16日間水耕栽培し, 品種の耐塩性を調査した. 生育にはグロースポーチを使用し, 画像解析を用いて根の直径別の根長と根表面積を測定し, 根系形態と耐塩性との関係を解析した. 対照に対する塩処理の全重と相対成長率の低下程度から, 農林18号の耐塩性が最も高いと判断された. 処理別, 両処理込みにかかわらず相対成長率は葉面積比ではなく純同化率に一義的に規定されていた. 純同化率は個体当たり根長および根表面積と正の, 茎葉部Na含有率および葉面積/根表面積比(LA/RA比)と負の相関関係にあった. 茎葉部のNa含有率は個体当たり根長や根表面積が増加するほど指数関数的に減少し, LA/RA比とは正の相関関係にあった. 塩ストレス下において農林18号は直径0.169mm以下の2次根や3次根, および直径0.5mm程度の冠根の減少程度が少なかったため, 個体当たり根長と根表面積は他品種よりも多かった. 塩ストレス下において農林18号の根系の減少程度が小さく, LA/RA比が低いことは他の品種より吸水能力に優れていることを示唆している. このことから, 農林18号は塩ストレス下でも蒸散速度が高く, 蒸散流中のNa排除機構が効率的に作用したために茎葉部のNa含有率が低く抑えられたと推察される. また, 体内の水分含有率の低下を抑えたことにより高いNARを維持し, その結果高いRGRを達成したと推察された.
著者
桑村 友章 中川 祥治 木村 友昭 善本 知孝
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.38-39, 1995-04-03

微生物資材「救世EM-1」の使用説明書に基づいた条件での土壌改良および葉面散布処理は, エダマメの生育・収量・品質には影響を及ぼさなかった.
著者
千葉 雄大 松村 修 寺尾 富夫 高橋 能彦 渡邊 肇
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.455-464, 2009-10
被引用文献数
1

深水栽培による籾数制御と草姿の改善により、水稲の登熟期における高温による白未熟粒の発生抑制を試みた。2004年から2007年に、水稲3品種(初星、ササニシキ、コシヒカリ)を分げつ盛期から最高分げつ期にかけて水深18cmで深水処理し、生育、収量と白未熟粒割合を調査した。深水処理により、2次分げつおよび上位1次分げつといった弱小分げつが減少して、強勢な下位の1次分げつの穂を中心とした分げつ構成となり、有効茎歩合が高まった。その結果、深水処理により穂数は減少したが、一穂籾数と玄米千粒重が増加し、年次変動はみられたが、慣行栽培と同程度の収量が得られた。深水処理により白未熟粒発生が抑制され、特に、乳白粒の発生を顕著に抑制した。また、深水栽培は、オープントップチャンバーによる高温処理においても白未熟粒発生を抑制し、高温による品質低下防止に効果があった。この効果は、高温登熟耐性の弱い品種ほど顕著であった。しかし、深水処理は茎数を減少させるため、十分な茎数が確保できない場合には減収した。このため、高品質米の収量確保には、有効茎数を確保してから深水処理を開始することが必要であり、深水処理開始時の茎数が330本/m2程度確保できれば、慣行栽培と同程度の収量と、白未熟粒発生抑制の両立が期待できる。
著者
中嶋 泰則 濱田 千裕 池田 彰弘 釋 一郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.366-375, 2006 (Released:2006-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

2月中旬のコムギ立毛中に水稲を不耕起播種する「水稲麦間不耕起直播栽培」の省力安定化技術の確立を目的に, コムギ播種前の秋季代かきと播種同時施肥について検討した. 不耕起V溝播種機を供試し, 開口部2 cm, 深さ5 cmのV溝に水稲播種と同時に施用する肥料を検討したところ, 水稲の生育や窒素の溶出パターンから, 基肥としては肥効調節型肥料のLPSS100(シグモイド型被覆尿素100日タイプ)が適合すると考えられた. また, LPS120(シグモイド型被覆尿素120日タイプ)が穂肥としての肥効を示すことも示唆された. これらの肥料は, コムギ生育中での窒素の溶出量が少なく, コムギの収量・品質に悪影響を与えなかった. コムギ播種前に秋季代かきを実施することで, 水稲播種時における圃場の均平と硬度が確保され, 播種作業によるコムギへの傷害が少ないうえ, 水稲の播種精度が向上し出芽・苗立ちが安定した. このような結果に基づき, 1999年にコムギ播種前の秋季代かきおよびLPSS100の水稲播種同時施肥を水稲麦間不耕起直播栽培体系に組み込み, 94 aの大区画圃場において検討したところ, 1 ha当たりの全刈り収量はコムギ4.94 t, 水稲5.32 tで合計10.26 t, 圃場内労働時間23.5時間が達成でき, 本栽培体系における省力安定性が示された.
著者
磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.374-380, 1997-09-05
被引用文献数
2

Arbuscular菌根菌をインゲンマメ栽培に利用するため, 品種「どじょう」と「セリーナ」を用いて, 土壌中の有効態リン含有量(ブレイ第2法にて測定)と菌根菌の関係ならびにインゲンマメの生育に対する菌株間の比較をおこなった. 得られた結果は, 以下の通りである. 播種時の有効態リン含有量が2.5 mg/100gになるとArbuscuIar菌根菌の感染が抑制され, 4.1 mg/100gではArbuscular菌根菌を接種してもインゲンマメの生育はあまりかわらなかった. このことから黒ボク土壌でインゲンマメ栽培にArbuscular菌根菌を利用するには, 播種時の有効態リン含有量が, 4.1 mg/100g以下であることが必要と思われた. 2種類のArbuscular菌根菌をインゲンマメに接種したところ, Gigaspora margarita, Glomus sp. (y) ともに接種胞子数が多くなるほどインゲンマメの生育はよくなかった. しかし, Gigaspora margarita と Glomus sp.(y)では, Glomus sp.(y) のほうが生育初期における感染率が高く, インゲンマメの生育もよかった. このことから, インゲンマメには Gigaspora margarita より Glomus sp.(y) のほうが, より有効な菌と思われた.
著者
志村 喬
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.121-133, 1935-06-10

La autoro studis citologie pri teplantoj, por determini la nombron de kromosomoj knaj por klarigi agadon de kromosomoj en la redukta dividigo. La polenpatrinceloj kaj radikpintaj eloj de sekvantaj kvar varioj estis ekzamenataj: [table] La polenpatrinceloj estis fiksitaj de fiksosolva o de CARNOY, kaj trancitaj en pecetojn kun dikeco de 15-17 μ. La radikpintoj estis fiksitaj de modifita fiksosolvajo de KARPECHENKO. La kolorigo estis farata per genciana violo lau NEWTON. Por ekzameni polenkvarerojnkaj polenerojn, acetokarmino lau BELLING kaj ankau kotonbluo estis uzataj. La ekzamenitaj rasoj estis ciuj duobluloj krom tiu raso nomata "Makinohara-wase", kiu estis trioblulo. Duoblulaj montris 30 kromosomojn en radikpintaj celoj kaj 15 unuoblulajn kromosojn en redukta dividigo de polenpatrincelo ; oni ne povis ilin distingi unu de la alia lau ilia kromosomaro. Ce duoblulaj rasoj la redukta dividigo okazis generale normale, sed ce iuj rasoj pli-malpli malregela dividig! o estis videbla. Ce iu kelkaj unuvalentoj montrigis en matafazo, kaj unu au du postlasitaj kromosomoj estis videblaj en anafazo. Sekve tiaj rasoj produktis ofte polenkvarerojn kun kelkaj ekstraj celetoj. La trioblula raso, Makinohara-wse, havas 45 somajn kromosomojn en la radikinta celo, kaj multe da malreguleco estis videbla en redukta dividigo de polenpatrinceloj. Generale 9-12 trivalenta kaj kelkaj kelkaj unuvalentaj kromosomoj estis kalkulataj en metafazo de la unua dividigo. En anafazo trivalenta kromosomo apartigis okaze en unuvalenton kaj duvalenton ; unuvalento estis okaze postlasita apud la nukleoplato kaj laulonge fendiginte, dispartigis je ambau polusoj. En la dua dividigo kromosomaro de variaj nombroj estis vidata; generale 17-19 kromosomoj estis kalkulataj. Eble tiu ci raso estas autotrioblulo. La procentoj de produktitaj belaj poleneroj estis variaj lau reguleco de redukta dividigo. Duoblulaj rasoj generale havas 90-98% da belaj poleneroj, sed iu montris 65-87! % da belaj poleneroj pro sia malreguleco de redukta dividigo. Trioblul a raso havas nur 46.65% da belaj poleneroj. In el japanaj rasoj produktis ofte polenduerojn kaj okaze kelkaj kun aliaj kompare grandaj kaj plenaj poleneroj estis videblaj. Tiuj ci grandaj poleneroj havus duoblulan kromosomaron. Triobula raso estus produktita per krucigo inter tia duoblula gameto kaj alia norma unuoblula gameto.
著者
平 春枝 平 宏和
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.185-196, 1973-06-30

大豆30品種を石岡・塩尻および熊本の大豆育種試験地の圃場でそれぞれ栽培し, 得られた大豆について18種類のアミノ酸組成を微生物法を用いて調べ, 各地域における生育特性(開花まで, 登熟および成熟までの日数), 栽培環境(開花まで, 登熟および成熟までの積算平均気温, 積算日照時間, 積算降水量), 一株粒重, 千粒重, タンパク質およびディスク電気泳動法によるタンパク質成分組成(A・B・C・D・E)間の相関などについて検討を行なつた. アミノ酸組成の地域的変動は, 石岡産大豆にくらべて熊本産大豆のアルギニン含量が高く, トリプトファンおよびシスチン含量の低い傾向が認められた. また, 石岡産大豆にくらべて塩尻産大豆はアルギニン含量が高く, チロシン・シスチン含量の低い傾向があり, この地域差の原因ほタンパク質含量の違いに帰因することが認められた. 一方, アミノ酸含量の品種間の変動は, メチオニン・シスチンが大きく, 品種間におけるメチオニン含量は, 白莢1号・こうじいらず・松浦・1号早生が高く, 兄・ヤマベ・ネマシラズ・白鳳が低い. 一方, シスチン含量は, 赤莢・白鳳・奥羽13号が高く, ヤマベ・金川早生・白莢1号・アイサ・農林2号が低い. アミノ酸含量に与える生育特性・栽培環境などの要因との相関は, グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・トリプトファン・シスチン(グループA)との間に正の相関が, アスパラギン酸・グルタミン酸・フェニルアラニン・チロシン・メチオニン(グループB)との間に負の相関が認められた. また, イソロイシン・リジン・アルギニン・ヒスチジン・プロリン・セリン・スレオニン(グループC)との間には相関が 認められなかった. タンパク質含量との相関は, グループBに属するいずれかのアミノ酸およびアルギニンが正の, グループAに属するいずれかのアミノ酸が負の相関を示した. アミノ酸含量とタンパク質成分組成含量(A・B・C・D・E)との相関が2地域以上に認められたものでは, A成分とトリプトファンが負の相関を, C成分とイソロイシン・フェニルアラニン・スレオニンが負の相関を, D(11S)成分とスレオニンが正の, チロシンが負の各相関を示し, E(7S)成分とセリンが正の相関を示した.
著者
猪谷 富雄 小川 正巳
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.137-147, 2004 (Released:2004-09-29)
参考文献数
110
被引用文献数
14 16

赤米とは, 糠層にタンニン系赤色色素を持つイネの種類であり, わが国においては日本型とインド型の2種の赤米が栽培されてきた. 日本型の赤米は古くから日本に渡来し, 7~8世紀には全国各地で栽培されたことが平城京跡などから出土する木簡から推測されている. 14~15世紀には中国からインド型の赤米もわが国へ渡来し, 「大唐米」などと呼ばれ, 近世に至るまでかなりの規模で栽培されていた. 早熟で不良環境や病害虫に強い大唐米は, 最盛期の江戸時代には関東から北陸地方以西において広く栽培され, 特に低湿地や新たに開発された新田などに適していた. 明治時代に入るとこれらの赤米は徐々に駆除され, わが国の水田から姿を消す道を辿った. 例外として, 日本型の赤米の一部が神聖視され, 神社の神田などで連綿と栽培されてきたもの, 雑草化して栽培品種に混生してきたものなどがある. 約20年前から, 赤米は小規模ながら栽培が復活し, 日本各地で歴史や環境を考える教育や地域起こしの素材として利用されている. また, 赤米は抗酸化活性を持つポリフェノールを含む機能性食品としても注目されている. わが国における赤米栽培の歴史と赤米を取り巻く最近の研究状況などについて, 以下の順に概要を述べる. (1)赤米を含む有色米の定義と分類, (2)赤米の赤色系色素, (3)赤米の栽培の歴史, (4)残存した赤米, (5)赤米など有色米が有する新機能, (6)赤米の育種などに関する最近の情勢.
著者
今井 勝 市橋 卓也
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.360-366, 1986-09-05
被引用文献数
1

低緯度地方のマイナークロップとして栽培されている食用カンナの光合成, 物質生産に関する研究はほとんどなされていない. 本報告では研究の第一段階である, 光環境に対する適応性を知ることを主眼として, 人工気象室内で異なる光強度の下に栽培された植物につき, 個葉のガス交換特性を検討した. 得られた結果の大要は次の通りである. 1. みかけの光合成の適温は28℃前後であった. 2. 強光(650μEm^<-2>s^<-1>PPFD)下で生育した植物は, 開葉後3日目でガス交換速度が最大に達し(1000μEm^<-2>s^<-1>PPFD下で光飽和せず, 光合成23.0mgCO_2dm^<-2>h^<-1>, 蒸散2.2gH_2 Odm^<-2>h<-1>), 以後漸減した弱光(290μEm^<-2>s^<-1>PPFD)下で生育した植物は, ガス交換速度が最大に達するのに強光下の場合よりもやや時間を要したが, 光合成能力はかなり高かった(20.8mgCO^2dm^<-2>h^<-1>). 3. ガス交換の主要な場は葉の背軸面であり, 強光条件下では向・背軸面の気孔密度(約1:3)に比例した値が得られたが, 弱光下では向軸面の割合が極端に減少した. 4. 食用カンナはガス交換の面から, 耐陰性の優れた陽生値物とみなされ, 幅広い光環境下での栽培可能性が示唆された.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.39-44, 1999-03-05
参考文献数
16
被引用文献数
7

夏季における新ソバ供給と水田の高度利用を目的にした, 西南暖地における夏ソバ栽培技術の確立に関する研究の一環として, 播種期の違いが夏ソバの生育ならびに収量に及ぼす影響について調査した. 普通ソバ品種キタワセソバの種子を, 愛媛大学農学部内の雨よけビニルハウスに設置したポットに3月中旬から6月初旬まで10日ごとに播種した. 播種期が遅くなるほど開花数は増加したが, 結実率の著しい低下により粒数が減少し, さらに千粒重も低下して子実重は減少した. 特に, 開花始〜成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えると結実率は顕著に低下した. したがって, 西南暖地における夏ソバの播種は, 遅霜の心配がなければできるだけ早く, かつ開花始〜成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えない時期までに終える必要があることが明らかになった. さらに, 瀬戸内地域においては遅霜と梅雨入り時期ならびに上記臨界温度を考慮すると, 播種期は3月下旬から4月中旬に限定されること, 4月中旬までに播種すれば収穫は6月初旬となり, 初夏には新ソバの供給ができるばかりでなく, その後作に水稲はもちろんダイズ, 飼料作物などの栽培も可能となり, ソバを水田における輪作体系に組み込むことができることも明らかになった.
著者
ウデイン S. M. モスレム 村山 盛一 石嶺 行男 続 栄治 原田 二郎
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.747-753, 1995-12-01
参考文献数
19
被引用文献数
2

木酢液・木炭混合物(サンネカE)が夏植サトウキビの乾物生産および根の生育に及ぼす影響を明らかにするために, サトウキビ品種NCo310を供試し, サンネッカE施用量を0(対照区), 200, 400および800kg/10aの4水準設定して5反復で実験を実施した. その結果, サンネッカE施肥により茎重, 茎長, 茎径, 糖含量等のサトウキビの収量構成要素が増大した. サンネッカE施用区におけるCGR, NARおよびLAIは対照区より高い値を示し, CGRとNARおよびLAIの相関は有意であった. 原料茎収量, 葉糖収量および全乾物重もサンネッカE区が対照区よりそれぞれ13-24%, 19-31%および14-20%増加した. また, 原料茎収量, 蔗糖収量および全乾物重の最高値は400kg/10aサンネッカE区で得られた. サンネッカE区の根系の分布は水平方向, 垂直方向とも各分布域における根重密度はサンネッカE区が高かった.
著者
中道 浩司 足利 奈奈 来嶋 正朋 佐藤 三佳子 吉村 康弘
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.49-55, 2013

本研究は,北海道の春まきコムギ優良新品種「はるきらり」を上川農業試験場 (北海道上川郡比布町) にて3年間栽培・試験し,収穫物である子実の製粉特性ならびに小麦粉の製パン性といった品質特性について,基幹品種「春よ恋」と比較することで評価したものである.品質特性は,子実については子実タンパク質含有率,子実灰分含有率,製粉工程でのミドリング粉量に対するブレーキ粉量 (BM率) で,小麦粉については小麦粉タンパク質含有率,小麦粉灰分含有率,生地吸水率,グルテンインデックス,パン体積で評価した.小麦粉タンパク質含有率ならびに小麦粉灰分含有率は,それぞれ同じ子実タンパク質含有率,同じ子実灰分含有率であれば,「春よ恋」が「はるきらり」よりも高かった.BM率は,両品種とも子実タンパク質含有率と正の相関を示し,同じ子実タンパク質含有率であれば,「はるきらり」が「春よ恋」よりも高かった.さらに,小麦粉タンパク質含有率は,吸水率,パン体積,可溶性ポリマー含有率 (EPP),可溶性モノマー含有率 (EMP) および不溶性モノマー含有率 (UMP) と正の相関を示し,グルテンインデックスと負の相関を示した.一方で,「はるきらり」は,「春よ恋」よりも吸水率が低く,グルテンインデックスが低く,パン体積が大きく,EPP と EMP が高く,不溶性ポリマー含有率 (UPP) が低かった.
著者
続 栄治 島崎 敦 ナイバルレブ ロサバティ ウルカラ 富山 一男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.195-200, 1995-06-05
被引用文献数
1

サトイモは宮崎県における主要な作物であり, 需要の増加と共に生産量も増えている. これに伴い栽培農家ではサトイモの連作障害の発現が問題となってきている. 本研究ではサトイモの連作障害の実態を調査すると共に, 連作土壌の理化学性, 土壌線虫, およびサトイモ由来の生長抑制物質について分析・調査した. サトイモを5年連作すると地上部の乾物重および塊茎収量は著しく低下し, 初年度作に比べ地上部乾物重において50%, 塊茎収量においで59%それぞれ低下した. サトイモ連作区と輪作区における土壌について分析した結果, 両者間に土壌の理化学性および線虫数について明瞭な差異は認められなかった. サトイモ地上部(茎葉)およびその連作土壌を水ならびにメタノールで抽出し, その抽出液について生理活性を検討した結果, これらの抽出液はダイコンならびにカブの初期生育を著しく抑制することが認められた. 以上の結果から, サトイモの連作障害はサ卜イモ由来の生長抑制物質と密接に関連しているものと推察した.
著者
山本 良孝 川口 祐男 高橋 渉
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.485-490, 1993-12-05
被引用文献数
2

水稲「コシヒカリ」を供試し, 気温による水稲の発育段階予測法 (DVS方式) が作期及び栽培地域の異なる条件で, どのような適合性を示すかについて検討した. 4月20日から6月1日までの移植においてはDVS方式が良く適合し, この期間の標準誤差は幼穂形成期が1.21日, 出穂期が1.48日, 成熟期が1.45日であった. しかし, 6月15日の移植においては推定値が実測値より遅くなり, 生育が進むにつれて拡大した. この理由としては日長の影響が大きく, 短日条件が発育段階を早めたものと考えられた. 富山県内における入善町, 立山町, 砺波市の3カ所において, 近隣のアメダスの日平均気温をもとにDVS方式の適合性を検討したところ, 標準誤差は幼穂形成期が2.76日, 出穂期が2.33日, 成熟期が2.55日と高い適合性を示し, 県内においてもDVS方式により水稲の発育段階を予測することが可能と考えられた.
著者
島崎 由美 渡邊 好昭 関 昌子 松山 宏美 平沢 正
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.294-301, 2016-07-05 (Released:2016-07-26)
参考文献数
24

水田で栽培されたコムギ (水田のコムギ) は,畑で栽培されたコムギ (畑のコムギ) に比べ製パン性が劣ることが知られている.その主な要因は,小麦粉のタンパク質含有率が畑のコムギに比べ水田のコムギで低いことにあると考えられている.小麦粉のタンパク質含有率は,開花期に窒素を追肥することで高められる.そこで本研究では,開花期窒素追肥により水田のコムギの小麦粉タンパク質含有率を高めることが,製パン性に及ぼす影響を調査した.その結果,開花期に窒素を8 g m-2追肥することで,水田のコムギの小麦粉タンパク質含有率を畑と同程度の13%にまで高めることができた.しかし,製パン性を評価するバロリメーターバリュー (VV) は,畑のコムギでは75以上あったのに対して水田のコムギでは60程度と低かった.水田のコムギは畑のコムギに比べて吸水率が高く,小麦粉タンパク質含有率が13%と高いときは,生地形成時間 (DT) が短かった.パンの柔らかさを示すコンプレッションは水田のコムギの方が畑より小さく,パンは柔らかかった.小麦粉タンパク質中のSDS可溶性モノマー画分 (EMP) に対するSDS不溶性ポリマー画分 (UPP) の比は,水田のコムギで畑より有意に小さかった.なお,水田のコムギは,開花期に窒素8 g m-2を追肥して子実タンパク質含有率を高めても,原粒灰分が高く,容積重が小さいために,ランク区分はBやCだった.一方,畑のコムギは開花期に窒素を追肥しなくてもランク区分はAであった.
著者
福田 直子 湯川 智行
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.505-509, 1998
被引用文献数
5

ソラマメの在来種を含む41品種を用いて積雪条件が異なる2ヵ年にわたり, 越冬前の生育特性と雪害程度を調査し, 品種の耐雪性との関連について検討した.雪害による枯死葉面積率と枯死株率をもとに供試品種は耐雪性強, 中, 弱の3品種群に分類できた.耐雪性強品種群は新潟市近郊の在来種とその突然変異品種の2品種, 耐雪性中品種群は原産地や育成地が西日本中心に分布する35品種, 耐雪性弱品種群は海外から導入された品種および鹿児島県の在来種の4品種であった.それぞれの品種群は原産地や育成地に共通性が認められ, 品種の耐雪性と育成環境との間に関連が示唆された.越冬前の生育特性と品種の耐雪性との間には密接な関係が認められた.耐雪性弱品種は花芽分化の時期が早く分化葉位が低いために越冬前に花芽の顕著な発育が認められたことから春播き型の品種であると考えられる.一方, 耐雪性強品種群は花芽分化の時期が遅く, 越冬前の花芽の発育ステージは初期段階であった.また耐雪性に関わる形態的特徴として, 耐雪性の強い品種は越冬前の草丈, 節間長, 茎葉生重が小さく, 茎葉乾物率が高い特性をもっていた.