著者
西尾 道徳
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.513-521, 2001-08-05
被引用文献数
24

農林水産省統計情報部の行った農業生産環境調査で収集された個別作物ごとのN施肥の実態を解析した。解析に際しては、無機態N供給量(有機質肥料および堆肥から生育期間中に放出される無機態Nと化学肥料Nの和)と、作物体地上部に吸収されたN量(吸収N量)、並びに両者の差(非吸収N量)を算出した。多くの野菜とその他一部の作物について明らかな過剰施肥が認められた。 1)品目別の非吸収N量の全国平均値では、露地セロリー732、露地ナス483、露地キュウリ482、施設セロリ-455、チャ350、露地日本ナシ317、施設ナス314、施設キュウリ311kgNha-1が突出していた。 2)全国平均値で露地野菜と施設野菜を比較すると、露地野菜では施設野菜に比べて、施肥N量が多くかつ収穫量が少ない結果、非吸収N量が多く、施用したNの利用効率も低かった。 3)慣行露地栽培の野菜とチヤについて無機態N供給量と単収の都道府県別平均値をプロットした。露地ナスとチヤでは無機態N供給量が1100kgha-1であっても、収量の低下が認められなかった。そして、無機態N供給量の増加とともに、N利用効率が低下した。なかでも露地のキュウリとナスでは,広い範囲にわたってN利用効率が20%あるいはそれ以下の事例が多かった。

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