- 著者
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西尾 文彦
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 千葉大学環境リモートセンシング研究センター年報
- 巻号頁・発行日
- vol.7, 2002-06
(1)地球の将来に、一体何が起こるのであろうか? われわれが危惧する地球環境の未来への透視図として極域における水に刻まれた地球の気候の歴史がある。例えば、今から1万年前から現在に至るまで、私たちの地球の歴史において気候はたいへん安定した時代である。この期間は、文明は栄え、過去10万年前のどの類似した時間的長さよりも、平穏でより安定した気候によって特微づけられている。グリーンランドの氷床上の幾つかの場所で掘削されたコアは、急に訪れる寒さや、暖気の一続きの期間の連続を示し、それぞれ1000年かそれ以上続き10年の経過を越えて、摂氏10℃も北ヨーロッパにおいて冬の平均気温が上昇したり低下したりしている。このような、突然の変化のサインは、大気の不純物の記録やメタン含有量、年層の氷板に保存された降雨(雪)量によって、読み取ることができる。(2)温暖化の影響による雪水圏(海氷・氷河・本床)の変動温室効果ガス増大で起きていると懸念される、地球の温暖化による雪水圏の変動のモニタリングを継続して行っていくためには、衛星による観測は最も重要な手法である。可視からマイクロ波までの多重センサーを利用し、多くの雪水の情報を得ていくことができる。(3)南極大陸氷床下の湖に微生物が存在するのか。4千メートルの氷の下に湖が存在するという。百万年以上前の微生物が凍結保存されている。(4)南極からの贈り物。極域科学は地球科学の中でも宇宙科学、海域科学のようにフロンティアの要素を多く持ち、宝物が多くあり面白い分野である。