- 著者
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土田 誠
吉門 洋
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.5, pp.283-292, 1995-05-31
- 被引用文献数
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3
主にアメダスデータを用いて,2年分の冬季6か月間の東京湾の海風の実態を調べた.海風は冬型気圧配置の変動の間隙をぬうように出現し,出現時間帯や持続時間はばらつきが大きい.東京の大都市域が接する北西岸では,海岸近傍の地点で海風風向E〜SSWが昼間に出現して3時間以上継続することを中心とする判定条件により,180日のうち41日が海風日として抽出された.海岸近傍の平均海風時間帯は13時まえから6.6時間,最大風速は15時に南東風向で2.9ms^<-1>であった.しかし,都心部より内陸側で湾岸から18kmの地点では,海風風向が2時間以上現れるのが23日と少なく風速も小さい.東岸の千葉では,海風風向をS〜Wとして同様の判定をすると海風日は32日となり,西岸より少ない.このような海風を発生させる温度場は次の二つの要因で形成される.(1)この季節の海水温は8〜10℃で陸上の日最高気温11℃前後と同レベルだが,夜間に湾上をおおう陸風が午前中海上気温を海水温より低温に保つ.(2)東京の大都市域がヒートアイランドとなって郊外より高温を維持し,海陸の気温差を強化している.都心部の内陸側における海風出現頻度の急減や,都市規模が小さい東岸で西岸より頻度が低いこともヒートアイランドによって説明できる.