- 著者
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神田 学
森脇 亮
横山 仁
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.10, pp.723-731, 1997-10-31
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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10
明治神宮で行われた集中観測データを森林環境気象モデルに同化させ, 神宮の森の気候緩和機能と大気浄化機能が定量的に評価された. その結果以下の結論が得られた. 1) 数点のポロメーター計測データから未知パラメータを非線形回帰させた気孔コンダクタンスモデルは, 気象学的測定から得られた群落気孔コンダクタンスの傾向をよく表現した. 2 )この気孔特性を森林環境気象モデル (NEO-SPAM2) に同化させて熱収支計算を行ったところ, 実測値を良好に再現した. 3) 神宮の森の気候緩和機能を大きく左右する植物の活性度 (気孔コンダクタンス) は, 樹冠部ほど大きく, 下方へ向かうほど減少している. また植物の活性度は午前中の早い時間帯に最も盛んであることが示された. 4) 本モデルを用いて, 神宮の森における汚染物質吸収量 (鉛直下向きフラックス) を算定したところ, その日中の平均値は, 観測結果と定量的によく一致した. またピーク時のNO_2フラックスを神宮の森全体の面積に換算すると, 乗用車93台分が排出するNO_2量に相当することが明らかとなった. 5 ) また汚染物質吸収は早朝に効率的に行われること, 樹冠付近の葉への吸収が活発なことなど, 観測で得られなかった大気浄化の時空間変動特性が示された.