著者
斉尾 英行
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.213-215, 1995-03-05
参考文献数
8

ハッブル宇宙望遠鏡の優れた解像度によって,乙女座銀河団内の渦巻銀河M100の中にある12個のセファイド型変光星(以後セファイドと記す)が発見された.それらの周期と明るさとの関係からM100までの距離が17.1±1.8Mpc(1Mpc &sime; 3.26×10<SUP>6</SUP>光年)と決定された.宇宙膨張による乙女座銀河団の後退速度と,求められた距離とからハッブル定数がH<SUB>0</SUB>=80±17kms<SUP>-1</SUP>Mpc<SUP>-1</SUP>((8.2±1.7)×10<SUP>-11</SUP>yr<SUP>-1</SUP>)と決められた.ハッブル定数は,遠方の銀河の後退速度(V)とその銀河までの距離(D)との比を与え(V=H<SUB>0</SUB>D),現在の宇宙膨張の速さの指標である.仮に,宇宙の膨張が現在まで減速されなかったとした場合,宇宙が現在の大きさになるまでに要した時間はH<SUP>-1</SUP><SUB>0</SUB>~1.2×10<SUP>10</SUP>年となる.現実の宇宙には物質が存在しているので,仮想的な斥力を考えない限り,宇宙膨張は減速され続けてきていると考えられる.このような場合,宇宙が現在の大きさにまで膨張するのに要する時間はH<SUP>-1</SUP><SUB>0</SUB>よりも短いはずである.このことは,我々の銀河内で最も古い天体である球状星団の年齢が~1.7×10<SUP>10</SUP>年であると評価されていることと矛盾する.

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