著者
大出 義仁
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.892-898, 1996-12-05

気体の圧力の下限は零であるが, 液体ではその圧力は負となりうる. 液体分子が分子間力の及ぶ距離で運動しており, 分子間相互作用ポテンシャルに引力部分があるからである. 負圧下の液体は熱力学的には準安定で容易に気相を核生成するため, その'引っ張り強さ'以外の物性はこれまで殆ど測定されていない. そこで, 熱力学的な負圧発生法であるBerthelot法を使って高負圧発生技術の可能性を調べた. 容器壁との界面でおきる気相の核生成確率を低下させるよう, 予め脱ガスしておいた金属容器に抜気した液体を密封し, 多数回温度サイクルを施すことにより, 水および有機物について-20MPaを発生させた. 気相の核生成理論から予測されるそれぞれの引っ張り強さの約1/7および1/2を越す負圧である. 容器表面の微細な孔状欠陥に保持されていたガスが負圧により液中に抜き出されるとき気相の核生成が起きるが, これらの表面欠陥への容器材内部からの不純物ガス供給率がこのレベルの負圧を制限していることが解ってきた. さらに高負圧が液体に発生維持できれば, これまで見逃されてきた極端環境となりうる.

言及状況

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毛細管を登った液柱の高さが、周囲を真空にしても「低下しない」としたら…という質問です。 真空オイル等の揮発し難い液体を入れた水槽に、濡れ易い表面を持つ毛細管を立てます。液体は毛細管を登り、毛管力が液柱に働く重力と釣り合って止まります。周囲の気圧をPex、液柱の頂上付近の液圧をPin、液柱の頂上の気液界面の差圧を、ΔP=Pex-Pin…(1)とします。 このとき液柱の高さをh、液体の密度をρ、重力 ...
毛細管を登った液柱の高さが、周囲を真空にした時「低下する」としたら…という質問です。 真空オイル等の揮発し難い液体を入れた水槽に、濡れ易い表面を持つ毛細管を立てます。液体は毛細管を登り、毛管力が液柱に働く重力と釣り合って止まります。周囲の気圧をPex、液柱の頂上付近の液圧をPin、液柱の頂上の気液界面の差圧を、ΔP=Pex-Pin…(1)とします。 このとき液柱の高さをh、液体の密度をρ、重力加 ...
液体の負の圧力(絶対圧が負)について質問です。 シリンジに揮発し難い、真空オイルのような液体を充填し、先端を密封します。ピストンは自由に動けるようにしてシリンジを水平に置きます。周囲が大気圧でピストンが自由に動けるのなら、シリンジ内の液体の圧力は101.3kPaになっていると思います。その後シリンジの周囲を真空にします。このときピストンが自由に動けるのなら、シリンジ内の液体の圧力は0kPaになると ...

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