著者
深井 達也
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-7, 1967-01-01

生体の示す免疫機構の上に胸腺が重要な位置を占める事がこの数年間の研究で明らかになつて来た.著者は,純系マウスに自然発生した可移植性リンパ肉腫を系の異なるマウスにallogeneicに移植し,移植免疫における胸腺の意義について若干の検討を試み次の実験成績を得た. (1) 新生児期に胸腺摘除を行うと組織適合性の異なつた系からの腫瘍移植が可能となる.即ちallogeneic tumor transplantationに対してtolerantになる. (2) 成熟期胸腺摘除は組織移植に対する免疫耐性に全く影響を与えぬ. (3) 新生児胸摘に依り生じた移植免疫能の失調状態は新生仔マウスの胸腺を移植する事に依り改善されるが,その際,移植胸腺が移植腫瘍と同系のものであるならば腫瘍移植は成功する.異系の胸腺を移植すると腫瘍移植は成功しない.この事実は胸腺が免疫耐性の導入にある役割を演じている事を示唆している. (4) 本実験から,胸腺が組織移植に関する免疫機構に極めて重大な影響を与える事,しかも胸腺が免疫機構の確立に於て演ずる役割は新生児期に於て重要である事が推察できる.

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60年代の論文はなんだか控えめだな。現代とは大違いだ http://t.co/vcqzBgo0Tk

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