著者
武藤 裕子
出版者
独立行政法人国立女性教育会館
雑誌
国立女性教育会館研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.85-94, 2005-08
被引用文献数
2

本論は婦人保護施設利用者の変化を通して、施設の存在意義と今後のあり方を検討するものである。戦後成立した売春防止法において、婦人保護施設は「都道府県は、要保護女子を収容保護するための施設(以下「婦人保護施設」という。)を設置することができる」(第36条)と謳われ、公私の別なく各地に設置された。しかし高度経済成長期を過ぎると新規施設利用者数は減少し、平成に入るころには障害を持っているために社会復帰が困難とされる女性たちが施設に残り、利用者は高齢化していった。それゆえ、一時期には「婦人保護施設廃止論」が取りざたされたが、今日では「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」の中で被害者の避難場所としての機能を併せ持つようになり、施設に対する関心は高まりつつある。利用者の変化に伴ってニーズは変化しつつあり、複雑な問題を抱えた利用者を援助するためには、ワーカーはより高い専門性が求められている。また男女共同参画社会が謳われる今日、女性だけを対象とした婦人保護施設の存在意義はもう一度確認される必要があると思われる。本稿では売春防止法制定以前に検挙された女性を対象に行われた調査、法制定後の婦人相談所と婦人保護施設の調査、そして平成7年から10年にかけて行われた調査結果をもとに、それぞれの時代の女性の特性をつかみ、どのように変化していったかを考察し、今後の婦人保護施設の在り方とサービスを考える一石としたい。

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