- 著者
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丹羽 靱負
柳田 一朗
宗宮 教壹
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.4, pp.207-215, 1984
各種細胞の膜現象の測定法のうち, リン脂質メチル化反応(phospholipid transmethylation)について, 最近異論が多いので, われわれは, 無刺激あるいは, opsonized zymosan, Con Aなどのstimulantsで刺激した健康人好中球, およびリンパ球のmicrosomal fractionのリン脂質のtransmethylationについて, その手技に再検討を加えて改良した結果, 本検査法の信頼性が再確認されたので報告する.まず, 限定された資料(血液)より, 最大の膜成分の収穫率をあげるには, 超音波24W, 10秒でsonifyし, 1検体につき200μgの蛋白量について実験を行うと, 無刺激の好中球では0.40±0.050, リンパ球では0.74±0.075pmol/min/mg proteinのリン脂質メチル基転移酵素活性が得られた.また, 各種stimulantsで刺激した場合の至適濃度および至適時間については, 好中球・リンパ球共に, ライソゾーム酵素や活性酸素産生の際およびblastogenesisの実験の際使用する量の約1/5-1/10の使用量により, 無刺激より20-40%の値の上昇が得られた.また, 同一資料で並行して行った二次元薄層クロマトグラム(TLC)により, メチル化リン脂質反応産物の産生が確認されたことと, メチル化阻害剤3-deaza-SIBAを前もって添加すると, 上述の活性の低下とアトピー性皮膚炎の重症度との間に相関がみられた.