著者
村山 貢司 馬場 廣太郎 大久保 公裕
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.47-54, 2010-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

【目的】我が国におけるスギ花粉症の有病率は馬場の2008年の調査により,平均26.5%とされているが各地域の有病率には大きな差が存在する.これまで,中村,Okudaらによって全国のスギ花粉症有病率の調査が行われてきたが,主に抗体陽性率や発症率との観点から分析が行われており,わずかにOkudaによって飛散花粉数と有病率の関係が述べられているにとどまっている.大気汚染との関連では特定地域における調査はあるが全国的な解析はほとんどないのが現状である.本研究では花粉数,大気汚染,気象条件など外部条件が,地域間の有病率にどの程度影響を与えているかについて検討を行った.【方法】馬場の調査による各都道府県のスギ花粉症有病率と各地域の平均花粉数,花粉の飛散期間,2月および3月の湿度,SPM,NOx,Oxなどについて相関を求め,有病率の差に関与する因子を検討した.花粉数についてはスギおよびヒノキ科花粉の合計値とスギ,ヒノキ科に分けた場合についても検討した.相関の高い因子については1998年と2008年の有病率の差について同様の結果になるかを検討した.【結果】有病率と最も相関が高くなったのは花粉の飛散期間で,次いで花粉数,湿度の順であった.1998年と2008年の有病率の増加に関与したと考えられる因子は同様に花粉飛散期間,花粉数,湿度の結果であった.SPMなどの大気汚染に関しては有意な関係は見られなかった.湿度に関しては森らの調査による高湿度におけるダニ増殖の影響とは異なる結果になった.
著者
榎本 雅夫 森田 裕司 齋藤 明美 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.39-44, 2009

スギ花粉症の有病率は,日本の「国民病」といえる程に高い.一般的な治療には,マスクやメガネなどを使用したスギ花粉の回避によるセルフケアと第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用いたメディカルケアがある.しかし,医療機関を受診せず,いわゆる健康食品を利用した「セルフメディケーション」を行っている患者も多い.その1つに,スギ花粉をカプセルに詰めたものがある.2007年2月に,そのカプセル服用後に,アナフィラキシーショックを呈した49歳,女性を経験した.この症例の特異的IgE抗体やヒスタミン遊離試験はスギ花粉に対して陽性であった.内容物に含まれる主要抗原のCryj1量は少なかったが,この製品に含まれるスギ花粉以外にアナフィラキシーショックの原因は考えられず,服用後行ったテニスによる運動誘発アナフィラキシーショックと考えるのが妥当と結論した.
著者
湯田 厚司 小川 由起子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1623-1630, 2013-12-30 (Released:2017-02-10)

点鼻用血管収縮(α交感神経刺激)薬の長期使用による薬剤性鼻閉の臨床検討をおこなった.【対象背景と治療法】2011年10月から15カ月間に治療した33例(男性23例,女性10例,平均44.4±15.6歳)の背景因子と追跡し得た31例の治療成績を解析した.薬剤使用期間は最長7.5年で,1年未満が7例のみ,2年以上が16例(48.5%),5年以上が6例であった.原因疾患は,急性炎症6例,慢性副鼻腔炎2例,アレルギー性鼻炎20例(うち10例スギ花粉症)であった.治療は,点鼻液を中止して代替薬にステロイド鼻噴霧液を使用した.【結果】全例で点鼻用血管収縮薬から完全離脱して鼻閉が改善した.19例(61.3%)が3日以内で,25例(80.6%)が1週間以内で改善し,早期改善例が多かった.背景因子および薬剤使用期間と改善までの期間に関連が無く,長期使用例でも早期に改善した.問診での本薬の使用申告は36.4%であり,注意深い診察が必要であった.【結論】本薬による薬剤性鼻閉は可逆的な病態であり,適切な指導により改善しやすい.
著者
堀口 申作 斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.16-18,74-75, 1964
被引用文献数
54

我国においては, 諸種の観点から花粉症の存在は予想される所であるが, 現在までの所, アレルゲンの確定せる花粉症の報告は極めて少い.今回我々は, 日光地方において季節性に特に春季に起る鼻腔, 咽頭並びに眼結膜のアレルギー症状を呈する21症例に遭遇し, これらに対し, 各種の臨床的検索を行った.これらの症例の罹病時期は, スギの開花時期と一致し, 更にアレルゲンの検索を行った結果, スギ花粉による乱刺法では71.4%に陽性, アレルゲンエキスによる皮内反応では, スギに対し85.7%に陽性, スギ花粉による結膜反応は85.7%に陽性, 鼻粘膜反応は100%に陽性, 2症例にP-K反応を打って陽性の成績を得た.以上を綜合した結果, 本症がスギ花粉をアレルゲンとする花粉症であることが確認されたので, これをスギ花粉症Japanese Cedar Pollinosisと命名した.
著者
榎本 雅夫 森田 裕司 齋藤 明美 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.39-44, 2009-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13

スギ花粉症の有病率は,日本の「国民病」といえる程に高い.一般的な治療には,マスクやメガネなどを使用したスギ花粉の回避によるセルフケアと第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用いたメディカルケアがある.しかし,医療機関を受診せず,いわゆる健康食品を利用した「セルフメディケーション」を行っている患者も多い.その1つに,スギ花粉をカプセルに詰めたものがある.2007年2月に,そのカプセル服用後に,アナフィラキシーショックを呈した49歳,女性を経験した.この症例の特異的IgE抗体やヒスタミン遊離試験はスギ花粉に対して陽性であった.内容物に含まれる主要抗原のCryj1量は少なかったが,この製品に含まれるスギ花粉以外にアナフィラキシーショックの原因は考えられず,服用後行ったテニスによる運動誘発アナフィラキシーショックと考えるのが妥当と結論した.
著者
金子 真理 八木 久子 小山 晴美 中嶋 直樹 村松 礼子 滝沢 琢己 荒川 浩一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.698-703, 2013-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
16

症例は13歳男児.運動後のアナフィラキシー症状を2度呈し,food-dependent exercise induced anaphylaxis (FEIAn)を疑われ当院にて運動誘発試験を行った.2回のエピソード前の食事に共通してリンゴが含まれていたこと,リンゴのプリックテストが陽性であったことから,リンゴ摂取後に運動負荷試験を施行したところ,鼻汁,くしゃみ,咽頭の違和感口蓋垂の腫脹を認め,リンゴによるFEIAnと診断した.その後,リンゴ摂取は禁止せず摂取後の運動を控えていたが,約5カ月後にはリンゴ加工品摂取のみでアナフィラキシー症状が出現するようになった.FEIAnの予後に関する報告は少なく,中長期的な予後は不明である.リンゴという特殊性の高いアレルゲンによるFEIAnの中には,本症例のように運動と関連のないアレルギー反応へと変遷する症例もあり,注意深く経過観察する必要があると考えられた.
著者
戸倉 新樹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1382-1389, 2006-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

光アレルギー機序で発症する疾患には,光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症,日光蕁麻疹,慢性光線性皮膚炎(CAD)がある.通常のアレルギーには,接触皮膚炎,薬疹を代表とするように抗原物質が明瞭なものと,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹などのように必ずしもアレルゲンを決定しえないものとがある.この事情は光アレルギーについても同様であり,光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症は抗原となる光感受性物質が明らかであり,その他は明確でない疾患となる.光接触皮膚炎は,抗原が皮膚に塗られて,紫外線が当たって発症し,薬剤性光線過敏症は抗原が薬剤という形で経口投与されて,紫外線が当たって発症する.光接触皮膚炎の原因には,ケトプロフェン,スプロフェンやサンスクリーン剤がある.診断は光貼布試験が決め手となる.薬剤性光線過敏症の原因には,ニューキノロン,ピロキシカム,降圧利尿薬,チリソロール,メチクランをはじめとして多くの薬剤がある.原因物質は光ハプテンとしての性格を持っており,内服照射試験と光貼布試験を行う.CADは,外因性光抗原を原因としない自己免疫性光線過敏症と呼ぶべき疾患で,時にHIV陽性者,ATL患者に発症する.CADの病変組織にはCD8^+T細胞が浸潤している.CD4^+T細胞の数的・機能的減少がCD8^+T細胞を暴走させCADを誘導する可能性がある.
著者
宮原 聡子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1305-1310, 1995
被引用文献数
1

オリーブ花粉は, 地中海沿岸地域における主要吸入抗原の一つである. 著者は, 国内有数のオリーブ生産地である小豆島におけるオリーブ花粉の飛散状況と, オリーブ花粉症の有無について免疫血清学的臨床調査を行った. その結果, オリーブ花粉症と考えられる患者 (15名) を認めた. またオリーブ花粉症患者血清においてカモガヤ (イネ科) 花粉との交叉反応が示唆された. オリーブを含むモクセイ科花粉とイネ科花粉との共通抗原性が報告されており, 今回の結果から国内においてもイネ科花粉症患者がモクセイ科花粉によってアレルギー反応が誘発されていると推測された.