- 著者
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中沢 次夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.7, pp.424-427, 1984
- 被引用文献数
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副腎皮膚ステロイドの前投与は遅発性喘息(LAR)の発現を抑止しうる.この事実はLARの発生機序に何らかのステロイド不全の依存を示唆する.今回はそれを解明する第一歩として喘息患者にアレルゲン吸入試験を行い, その前後の血漿コーチゾル値の変動を観察した.1.LARを呈した群のコーチゾル値は, 前値の9.22±2.96μg/dlから時間の経過とともに低下し, LAR発現時には2.76±0.42μg/dlと著明に低下した.この低下は日内変動域をこえていた.2.DARを呈した群では, 前値9.10±1.00μg/dlがIAR発現時に11.66±2.42μgと上昇し, その後低下した.そしてLAR発現時には4.23±1.45μgとやはり有意に低下した.3.IARを呈した群では, IAR発現時にコーチゾル値は上昇した.その後, 時間の経過とともに漸減傾向がみられたが, その減少は日内変動域内であった.以上の事実は, 一部のLARがおそらくはステロイドの合成あるいはregulationの一時的な不全状態に起因する可能性が想定される.