著者
山崎 太
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.305-309, 1985
被引用文献数
10

スギ花粉症が流行するか否かは, その雄花芽の分化成績に相関する.1983年7月は九州・山陽地方を除き全国的に著しい低温であったことから, 翌年春には両地方を除きほぼ全国的に同症は流行しないと予測された.ところが, 同年春にはこの両地方では本症が流行し, 東北・北陸地方ではそれが流行しなかったものの, その他の地方では先の予測に反しいずれも本症の流行をみるに到った.これにより, スギの雄花芽分化に影響を及ぼす気象因子は7月の平均気温だけではないことが示唆されたのでそれを検討し, 以下の結果を得た.1.スギ雄花芽分化成績(スギ花粉症流行程度)の予測法は, 7月の平均気温がその平年値より高ければ従来どおりでよい.2.従来の報告では7月の平均気温がその平年値より低ければ, スギ雄花芽は分化しないとしたが, その1旬が高温のときには雄花芽分化があり得ることが判明した.3.7月の1旬が高温で, かつその年度の春にスギ花粉が飛散していないならば, その旬に雄花芽は分化するため翌春の花粉飛散量は増加し, スギ花粉症は流行する.以上のように, 7月の平均気温が低くても, その旬別平均気温が高い場合には, スギの雄花芽が分化し, 翌春にはスギ花粉症が流行することもあり得ることが明らかとなった.

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こんな論文どうですか? 花粉症起因花粉の研究(第10報) : スギ花粉症と7月の旬別平均気温との相関(山崎 太),1985 http://id.CiNii.jp/KICBL

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