著者
上田 雅乃 井口 淑子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.358-366, 1987
被引用文献数
2 1

国療中部病院に施設入院中の7-17歳の喘息児を対象にイヌとネコを対比させながら, それぞれの皮内反応, 特異的IgE抗体, 接触歴, 臨床症状などにつき検討し次の結果を得た.1)皮内反応陽性率は166名中ネコ毛, ネコ毛皮屑, イヌ毛それぞれ17%(28名), 7%(12名), 13%(22名)であり, 1980年を境にネコ毛皮屑とネコ毛の陽性率が逆転していた.2)イヌの方がネコより約2倍多く飼われていたにもかかわらず, RAST陽性率は92名中15名(16%)とネコの101名中57名(57%)にくらべて低かった.3)飼い猫のいるもの6名中5名(83%)がRAST陽性であり, scoreも高い傾向にあったが, イヌでは19名中5名(26%)と低く, 必ずしもscoreは高くなかった.4)飼い猫のいないものでも95名中50名(53%)にIgE抗体をみとめ, 飼い猫以外での感作が考えられた.5)ネコではRAST陽性群50名中31名(62%)に何らかの症状が出現し, 13名(26%)に喘鳴・発作をみたが, イヌでは喘鳴・発作は14名中2名(14%)と低かった.6)ネコやイヌによるアレルギーは今後ふえる可能性があり, 抗原性の検索がすすめられ, major allergenを用いての診断がされるべきと考える.

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