著者
木村 努 石川 伸広 新海 健吉
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.248-255, 1991
被引用文献数
5

低分子化合物に対する抗体産生能をH-2ハプロタイプの異なるマウスで比較検討することは, 薬剤アレルギーの基礎的解析上, 意義のあるものと考えられる. こような検討は従来, 高分子物質で行われており, 低分子化合物についてはほとんどなされていないため, 今回 TNBS を免疫抗原としてとりあげて実験を行った. 免疫動物としてA/J (H-2^a), C57BL/6 (H-2^b), DBA/2 (H-2^d), C3H/He (H-2^k) の各系統マウスを用い, TNBS (30 & 300μg/body) を FCA 併用 (ip or sc) で免疫し, IgG および IgE 抗体産生能を2-ME 処理血清試料での HA と無処理血清試料でのラット PCA 反応によりそれぞれ調べた. その結果, DAB/2は IgE 産生に高応答を示し, 一方 C3H/He は IgG 産生に高応答を示した. 次に, A/Jは IgG と IgE の両者で高い応答性を認めた. C57BL/6は IgG, IgE ともに低〜中応答性であった. A/Jの H-2ハプロタイプ (H-2a) はK領域から E_α 亜領域までがH-2^k由来の, また S 領域と D 領域がH-2^d由来の遺伝子をもっていることから, 上記のような現象が認められたものと推察された.

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