- 著者
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児玉 元一
- 出版者
- 一般社団法人日本機械学会
- 雑誌
- 機械學會誌
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.192, pp.261-264, 1933-04
本研究は材料内の温度から起る熱内力の成因と諸性質とを考究し材料特に軟鋼の破壊過程に及ぼす影響を究めるを目的とし、實驗結果を解柝する爲數式を取扱つたものである。周知の如く熱傳導基礎式は變數を分離して解ける。從つて初めの條件周邊の條件等は三角函數、円〓函數或は球函數の諸性質を利用して各別に滿足させ得る。即ち所謂ストークス法により條件式を滿足し得る基礎式積分の方法を示し軟鋼によつて二三歪模様を添えて第一報としたものである。緒論に就く前に一言御斷りし度い。曩に著者は軟鋼の歪の分類を次の如く試みた。1.結晶各個の歪.......第一次の辷り。2.結晶群としての歪.........第二次の辷り。イ、彈性歪.........(第二次)第一種第一類の辷り、ロ、粘性歪.........(第二次)第一種第二類の辷り、ハ、局部歪.........(第二次)第二種の辷り。如上の各項の前者は前報告に於て試みた分類に使用した言葉であるが之等は從來慣用されておる言葉を同語異義に使つておるので甚だ紛しい事と内容を言葉の上に表し度い考へで中原先生の御注意に從ひ此の報告から前者の代りに後者を用ひる事とする。