- 著者
-
山ノ内 弘
- 出版者
- 一般社団法人日本機械学会
- 雑誌
- 機械學會誌
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.200, pp.835-847, 1933-12
各種金属材料のブリネル硬度と引張又は圧縮強との關係が實験上確定されたものも多いので試験が比較的簡易に行ひ得る硬度測定を以て引張試験等に代へる場合も在るに到つた。ブリネル硬度は例令同一材料でも、鋼球の大小、押圧力、常温加工度の相違、圧延材の圧延方向の影響、結晶粒の大小、温度の影響、等の外に試験片の大小に依つて違ふものである。著者は試験片の厚さ、表面積の最小限度竝に厚さと表面積との關係影響を明かにする爲め軟鋼及銅材を用ひて實験を行ひ、試験片は應力分布の算出に便利なる様円柱状となした。直径は12〜55mm, 厚さは7.5〜20mmの範囲で、標準硬度10/3,000/30及10/1,000/30に依つて得た結果を更に硬度試験に於ける規定硬度数に對する公差竝に他の實験結果をも斟酌して次の結論を得た。即ち試験片の直径と窪み円の直径との比が4以上、厚さと窪みとの比は6以上の場合の硬度を採らねばならぬ。尚又以上の實験に於て試験片内部の塑性変形を考察して應力分布状態を近似的に算出し以て参考となした。