著者
竹内 史郎
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.97-83, 2004-01-01

従来ミ語法は、その形態的特徴のために、形容詞の語法体系において一端を担うものであると積極的に主張されることが躊躇されてきた側面がある。形容詞性と動詞性が併存するとされ、主にマ行四段動詞との関連から併存の理由を説明する試みもなされてきた。しかしながら、ミ語法は、構文的意味の観点からすると形容詞構文に等しく、マ行四段動詞構文とは異なることが明らかになった。したがって、構文的意味に整合する形で形態的側面の説明が求められるが、語尾生成の際の子音選択のあり方・形容詞活用、格助詞ヲ等の上代語の文法の特性を考慮すれば、ミやヲはその動詞性を保証するものではないと認められる。形容詞性と動詞性の併存をみる解釈は、ミやヲの考察において近代語の文法に依拠したために解釈に至る過程で飛躍を含んでしまったものと考えられる。

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