著者
松森 晶子
出版者
日本語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.93-108,158, 2000-06

琉球の多型アクセントの諸体系には,型の生産性の片寄りと体系の不均衡が観察されることを,沖永良部島と徳之島のいくつかの方言を例にして示し,この原因は,服部(1979)の仮説を一部取り入れ類別語彙2拍語に1・2/3・4・5(板)/3・4・5(息)という合流の仕方を認める松森(1998)の説により,説明できることを示す。さらに,これら琉球の多型アクセント体系全般を通じて,類別語彙3拍語が生産的な3つの型に所属し,しかもその3つの型に所属する類別語彙の種類が諸方言間で対応することを確認する。このことから,琉球祖語に存在したと推定される3音節語の3つのアクセント型の,各々に属する語彙群のリスト(試案)を提示,これらの語彙群を,各々「形」類,「鏡」類,「刀」類と呼んだ。また,本土の類別語彙3拍語に対応する語彙の,琉球における合流の仕方は,1・2/4・5(鏡)/4・5・6・7(刀)であることを論じ,このように琉球では,類別語彙の2拍語のみならず,その3拍語も,特殊な類の分裂と合流を遂げたことを論じる。

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