著者
小倉 肇
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 74, 2001-03-31

ア行「衣」とヤ行「江」の合流過程において,語頭:ア行[e-],非語頭:ヤ行[-je-]という語音排列則が形成されたことを『和名類聚抄』『土左日記』『本草和名』などの「衣」「江」の分布から推定する。「あめつちの歌」の「えのえ」も,この語音排列則に従っていることを述べる。語頭:ア行[e-],非語頭:ヤ行[-je-]という語音排列則が緩み,単語連接における後接語の初頭(語頭)という位置で[e-]>[je-]の変化が起き,[e-]の語頭標示機能が弱められ,最終的に,語頭:[je-],非語頭:[-je-]となって,ア行「衣」とヤ行「江」の合流が完了する。このような語音排列則の形成と変化を想定することによって,「大為尓」「いろは」の48字説についても,単なる「空想」ではなくて,成立する蓋然性の高いことを述べる。

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@usagitan わかよたれそえつねならむ、というのは、わたくしの 発想ではなく 亀井孝先生の 説で、近年では 小倉肇先生 http://t.co/ktGGaRpeBD が、再評価なさっています。こういう 斬新な 着想が できるように なりたいものですけれども。

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