- 著者
-
田代 正之
- 出版者
- 日本古生物学会
- 雑誌
- 日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
- 巻号頁・発行日
- no.86, pp.325-339, 1972-06-30
- 被引用文献数
-
1
日本産のpennatae trigoniidsの特に九州姫浦層群産の種を中心に, その表面装飾及び成長に伴う形態変化を細かく観察した結果, これらの3属Apiotrigonia, Heterotrigonia, MicrotrigoniaはFrenguelliellaに酷似した幼殼を持ち, diskのL型肋は各々成長初期に突発的に形成され, areaの装飾は種により特徴ある形態を示す。Heterotrigonia特有とされたareaの放射状肋に似た細肋がApiotrigoniaやMicrotrigoniaの成長形にも弱いが出現することがある。又Heterotrigoniaのdiskにおける定向的な装飾変化はApiotrigonia, Microtrigoniaと酷似する。したがって, これら3属間には互いに密接な関係があり, 特にMicrotrigoniaはApiotrigoniaより分かれたことは明瞭である。このpennatae trigoniidsの起源はおそらくFrenguelliellaに端を発し, Trigoniinaeに加うべき過程を経たと思われるが, 成長後の形態は独特のL型肋を示すので, むしろこれらを一括して, 新亜科を設定すべきかと思われる。これらの属に加えられる姫浦層群産の3新種Ap. utoensis, Het. himenourensis, M. imutensisを記載した。またAp. minor var. nankoi NAKANOとAp. obliquecostata NAKANOは各々Ap. obsoleta NAKANOとAp. minor (YABE and NAGAO)の同種異名であろう。