著者
杉山 和弘
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.167, pp.1180-1223, 1992-09-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
70

岐阜県岐阜市金華山の珪質岩類より得られた放散虫化石を検討し, 3つの放散虫群集を識別した。それらは(1) Parentactinia nakatsugawaensis群集(Spathian), (2) Hozmadia gifuensis sp. nov.群集(early Anisian), (3) Triassocampe coronata群集(middle Anisian)である。放散虫化石を用いた時代決定ならびに堆積学的検討から, 調査地域の初生的な層序は暫定的ではあるが, 下位から順に下部三畳系の(1)黒色頁岩, (2)珪質頁岩~チャート, 及び中部三畳系の(3)層状チャートと復元された。また本地域から得られた二畳紀放散虫化石について, その産状を論じた。得られた放散虫化石のうち, 4新属26新種を含む代表的なものについて記載をおこなった。
著者
鹿間 時夫 尾崎 博
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1966, no.64, pp.351-358_1, 1966-12-15 (Released:2010-05-25)
参考文献数
7

Brazil, San Paulo近郊Tatuiの花山伊之助氏の農場で発見された爬虫類骨格を新属新種とみとめ, Brazilosaurus sanpauloensisと命名, 記載した。この骨格は, 下部二畳系のIrati層の灰色石灰岩中から発見され, 福井市の斎木重一氏によつて著者らにもたらされたものである。
著者
松川 正樹
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.148, pp.346-359, 1987-12-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
30

銚子地域のバレミアン君ヶ浜層から産出したアンキロセラス科に属する異常巻アンモナイト1種を識別してKarsteniceras obataiと命名, 新種として記載した。そして, その成長初期の殼の内部構造と既に報告されている異常巻アンモナイトのそれもあわせて, 超科より高次の段階の分類と系統を議論した。この新種は, Karsteniceras asiaticum (Yabe et Shimizu)に類似する。しかし, その成長中期の段階の殼で, 腹部の肩の位置にある肋に頑丈な疣をもつこと, 成長後期で, 数多くの繊細な条線をもつことで区別される。両種は, 同一の祖先から派生したものと考えられる。準模式標本の一つで成長初期殼の内部構造が観察される。そのうち連室細管の位置に注目すると, 異常巻アンモナイトでも, それが腹部側にあるものと中央に位置するものと二つのタイプに区分できる。これは, 正常巻アンモナイトがその二つのタイプからなるのと同様に, 異常巻アンモナイトが多系統であるとする一つの論拠を示していると考えられる。
著者
前田 晴良
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.148, pp.285-305, 1987-12-30
被引用文献数
14

北海道からサハリンにかけて分布する上部白亜系から産するアンモナイトのタフォノミーについて, 主に達布地域での観察を中心に議論した。平行葉理の発達したセノマニアン階の泥岩では, アンモナイトの殻は石灰質ノジュール中に含まれている場合でも, 圧密・溶解を被っている。一方, 生物擾乱を強く受けたチューロニアン階中部〜サントニアン階上部の泥岩中のノジュールは, 圧密・溶解を受けていない保存の良いアンモナイトを豊富に含む。おそらく上位層準のノジュールの方が, 下位層準のものよりも続成作用のより早い段階で形成されたと考えられる。大型アンモナイトは, 中・小型のものより続成作用の影響を強く受け, "half-ammonite"や"ventral-tire"等の特徴的な保存をしばしば示す。これらの保存は, 堆積物が殻内を不均一に埋積するため生じると考えられる。また, アンモナイトの殻は, 植物片とよく共存する。これは海水が侵入したアンモナイトの殻の密度が, 流木片のそれと近く, 両者が水力学的に似かよった挙動を示すためと推測される。これら木片やアンモナイト・イノセラムスの殻破片は, 大型アンモナイトのヘソの下に特徴的に掃き寄せられることも多い。植物片や貝の殻破片が集まったこのようなヘソ下部の空間に, 堆積物食者のブンブク類ウニが自生的産状で保存されていることがある。
著者
高橋 静夫 ドムニング D. P. 斎藤 常正
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.141, pp.296-321, 1986-04-30
被引用文献数
3

1978年8月, 山形県西村山郡大江町を流れる最上川で, 異常渇水のため露出した河床に大型哺乳類の骨格が含まれているのを2名の小学生が発見した。河床の岩層は, 本郷層の橋上砂岩部層で, 初期後期中新世のDenticulopsis katayamae Zone (9-10.4 Ma)を指示する珪藻化石を産する。一節の長さ6〜8センチ, 直径14〜15センチの椎骨が140センチの長さに連なり, 長さ20〜90センチの大きく湾曲した肋骨が26本程度数えられた。骨格前部には長さ51センチの頭骨が, 口蓋を上に頭頂を下にした状態で保存され, 長さ41センチの一対の肩甲骨も認められた。骨格を砂岩からとり出すにつれて, この標本は体前半部の骨格がほぼ完全に揃った, 極めて良く保存された大海牛の化石であることが明らかになった。指・掌骨を含む右前肢は, 絶滅した大海牛類の前肢の構造を示す, 現存する世界唯一の標本である。骨格の特徴により山形の化石は, カリフオルニアから記載されたDusisiren jordaniに近似するが, 歯の大きさがjordaniのものの3/4と小さく, しかも咬合面の模様が単純で, 歯が著るしい退化を示す点で大きく異なる。歯の退化は, 大海牛の進化系列のもっとも際立った形質変化で, 大型の歯を備えた先祖型のDusisiren属から, 歯が退化して失われたHydrodamalis属への進化系列が北太平洋地域で確立されている。歯の特徴および肩甲骨, 胸骨, 手根骨の性質から, 本骨格はD. jordaniとHydrodamalis cuestaeを結ぶ, これまで未記載の中間型の種であることが判明し, ここにDusisiren dewana(和名 : ヤマガタダイカイギュウ)という新種を提唱した。H. cuestaeは, ベーリング海で1768年に絶滅したステラー大海牛(H. gigas)の先祖なので, 本新種の設定により, 中期中新世のD. jordaniにさかのぼる四代の大海牛の進化系列が明らかになった。
著者
松本 達郎 横井 活城
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.146, pp.42-48, 1987-07-30
被引用文献数
1

この属は小型で奇妙な形質を示すが, 北米テキサス, 欧州(フランス等), ソ連, マダガスカルの白亜系から5種が知られている。今回北海道雨竜郡朱鞠内地域のMy 3部層(たぶんセノマニアン下部)から横井と林俊一氏が採集した標本6個が同属の1種で, 既知のどの種とも識別されることがわかった。中でW. rochatiarum (d'Orbigny)(仏, チューロニアン産)とW. vermiculum (Shamard)(テキサスBritton層産)に類似するが, それらより更に小型で, scaphitoid形の螺環部も伸びた部分も相対的に幅広く(H<B), 住房(棒状部の中程以降)は外側部で鈍い肩が張り, 外面は丸いが, 内側面は平行でなくて内に傾く特徴がある。内面は平担か少しくぼむ。縫合線は図の通りでマダガスカルのセノマニアン産のに似る。完模式標本の殼口縁の側面にはラペットらしいものを認める。新種Worthoceras pacificumと命名して記述した。太平洋区では初めての産出記録である。
著者
松本 達郎 村本 喜久雄 高橋 武美 山下 実 川下 由太郎
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.143, pp.463-"474-1", 1986-09-30

Neocrioceras属の模式種であるN. spinigerum (JIMBO)の性状が正しく理解されていない懸念があったので, 模式標本に加え, その後諸地域から採集された標本をも検討し, 同種の特徴を明示した。海外の専門家が属の区別に使えるとしている点(外側の肩の突起が対面か交互配列か)は, 個体により, また同一個体内の生長期により変異があることを具体的に示した。また成年期の住房も未成年期の殻と同様にクリオセラス型のすきまのある平面らせん巻きを続けていることを明らかにした。信頼し得る産地記録に基づくと, 本種は浦河統上部(おもにサントニアン)に産し, Sphenoceramus naumanni (Yokoyama)やS. nagaoi (Matsumoto et Ueda)を伴うことが多い。従来Neocrioceras属に入れられていた世界各地の諸種との比較を試み, 本種とかなり異なるものは他の属に移した方がよいことを論述した。
著者
松本 達郎 平野 弘道
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.102, pp.334-"342-1", 1976-07-15

北海道の白亜系産アンモナイトには保存のよいものが少なくないので, 殻の色彩の跡が残っているものはないかとかねてから留意していたが, この程6個体の例が見出された。それは天塩山地南西部の羽幌から小平にかけてのサントニアンの細砂泥岩中のもので, いずれもTexanitinaeに属する。Protexanits (Protexanites) bontanti shimizui MATSUMOTO 4個, Protexanites (Anatexanites) fukazawai (YABE et SHIMIZU) 1個, Paratexanites (Parabevahites) serratomarginatus (REDTENBACHER) 1個の実例には, どれも巻きの方向に平行する色帯があるが, 色帯の数, 位置, 幅, 間隔の相対的の幅などが種類により異なること, 1種の中では変異は僅かあるが, ほぼ一定していること, 第1・2種の色帯が類似するのに対し, 第3の種のそれはかなり異なることが注意される。色素は最外層部に集中しているようである。なお事実の記載に加えて, アンモナイトの殻の色模様一般に関して若干の論議を試みる。
著者
増田 孝一郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1954, no.15, pp.159-162_1, 1954

茂庭層からら採集した<I>Patinopecten</I>の新種と記載した.最初に数個の撰本を筆着に提供してくれた東北大学理学部地質古生物学教室学生中島浩三君の名をとつて<I>Palinopecten najahubtai</I> MASUDA と命名した.
著者
村田 正文
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.82, pp.93-"116-1", 1971-06-30
被引用文献数
1

南部北上山地に発達するペルム系坂本沢層の最上部元岩沢砂岩部層の岩相・化石層序学的検討の結果, 白鳥沢石灰岩部層上部と同時異相の関係にあることを指摘した。また世田米地区の元岩沢砂岩部層より産出した軟体動物化石群より1属1種の頭足類, 3属3種の腹足類, 1新属を含む4属5種の斧足類を記載した。これらは, すべて上位の叶倉層および天神ノ木層の動物群と共通または近縁種で, 両者の間に著しい時間間げきは存在しない。したがって, 叶倉層の基底礫岩の分布を考慮しても"先叶倉統不整合"は地域的なものと推論する。
著者
堀 利栄
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.159, pp.562-586, 1990-09-30
被引用文献数
22

西南日本のチャート及び泥岩からなる連続層序断面において放散虫化石の垂直分布を調査し, 4群集帯と4亜群集帯を最上部トリアス系から中部ジュラ系下部の間に設定・記載した。記載した化石帯は, 下位よりParahsuum simplum群集帯及びその4亜群集帯(Subzones I-IV)と, Mesosaturnalis hexagonus群集帯(新提唱), Parahsuum (?) grande群集帯, Hsuum hisuikyoense群集帯である。アンモナイト化石帯と直接対応のつく北米やトルコのデータとの比較により, 各群集帯の年代は, Rhaetian/HettangianからBajocianまでの間にそれぞれ位置づけられる。新たに設定したMesosaturnalis hexagonus群集帯は, Parvicingula属(広義)の出現や多様な小型塔状Nassellariaの産出で特徴づけられ, 西南日本だけでなく北米においても本群集帯に対応する化石帯が識別される。
著者
小島 夏彦
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.155, pp.197-211, 1989-09-30

浜名湖の完新統コア試料から渦鞭毛藻シストが産出した。産出したシスト群集は主にペリディニウムグループに属するBrigantedinium spp., Selenopemphix quanta, Seleno. hamanaensis, ギムノディニウムグループに属するPolykrikos schwartzii, Poly. kofoidii, Pheopolykrikos hartmanniiからなり, ゴニオラックスグループ, テュバクロディニウムグループに属するシストも少量産出した。これらのシストは6つの群集帯にわかれ, 構成種の変化より安定内湾域から汽水湖, さらに淡水湖をへて再び汽水湖という環境変化が推定された。なお, 1新種(Selenopemphix hamanaensis)を含む5種を記載した。
著者
平野 弘道
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.90, pp.45-71, 1973
被引用文献数
1

豊浦層群産のアンモナイト10種を記載し, これにより, その1よりひき続いたアンモナイトの記載をすべて終了した。本層群の時代は, アンモナイトならびにイノセラムスより, SinemurianからBathonianに及ぶと結論される。アンモナイト化石を多産する西中山層は, 下位よりFontanelliceras fontanellense帯, Protogrammoceras nipponicum帯, Dactylioceras helianthoides帯の3帯が識別される。これらは, 調査地域の北半では松本・小野(1947)の3帯に各々相当するが, 南半では特にその下半部が岩相とかなり斜交することが明らかである。欧州標準地域と類縁種に基づき比較すると, F. f.帯はMargaritatus帯のStokesi亜帯からSpinatum帯の下部に, P. n.帯はSpinatum帯上部からFalcifer帯に, D. h.帯はFalcifer帯のExaratum亜帯からBifrons帯のFibulatum亜帯に対比される。本層群のアンモナイト動物群は, 種数個体数ともにHildoceratidaeの優越で特徴づけられる。これをSIMPSONの公式により他域のものと比較すると, Domerian亜階の動物群はシシリー島のものに, 一般には地中海地方のものに高い類似度を示す。Whitbianでは欧州各地と等しく高い類似度を示し偏りがない。Yeovilianではコーカサス地方のものとのみ, かなり高い類似度を示す。北米西部から本層群のDomerianとWhitbianのものに比較されると報告されたものは, 動物群としてみた場合さほど高い類似度を示さない。本層群および北米西部のアンモナイト動物群はともに地中海系の特徴をもつが, 欧州で広くみられるような岩相と生相の一定の組合せを示さず, ボレアル系の堆積物より産する。
著者
平野 弘道 岡本 隆 服部 幸司
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.157, pp.382-411, 1990
被引用文献数
2

後期白亜紀の北太平洋には, デスモセラス亜科のアンモナイト類が繁栄した。北西太平洋の白亜紀前弧海盆堆積物の一代表とされる蝦夷累層群からは, このデスモセラス亜科のものが多数産出する。これらのうち, 産出頻度の高いセノマニアン期のD. japonicum, D. ezoanum, チューロニアン期のT. subcostatusについて, 主として大夕張および小平地方のサンプルを用いて, 相対成長解析を主たる方法として, 各種の形態進化および各種間の関係を考察した。すなわち, D. japonicumとD. ezoanumは, 各々生存期間を通じて形態の有意の変化はない。T. subcostatusは, D. japonicumと一二の形質を除いて差はなく, 後者から進化したものと考えられる。また, T. subcostatusもその生存期間を通じて形態に有意の変化は無いが, チューロニアン期中頃までに種分化しT. matsumotoi, n. sp.を生じた。D. japonicum, T. subcostatus, T. matsumotoiの進化系統を通じて, 縫合線の長さの螺環断面積に対する相対成長は, 漸次加速されているが, 種分化のつど成体のサイズが減少し, 生息域の東方限界が西方の陸よりに移動した。また, これらの種の分化や絶滅は, 海退・海進や海洋無酸素事変とタイミングが一致することから, このような海洋環境との関係についても論じた。
著者
平野 弘道 佐野 弘好
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.106, pp.100-105, 1977

熊本県八代郡東陽村美生からは, かって赤津健によりアンモナイト3個が採集され, 松本達郎により当地域に中部ジュラ系の存在することが示唆されていた。最近, 佐野は当該地域の調査を行い, 問題とされていた地層の分布範囲と層序を明らかにした。また新たにベレムナイト1個が得られた。これの化石はいずれも断片的ではあるが, 検討の結果アンモナイトの1個はCadomites sp., 他の1個はPlanisphinctes? sp.と鑑定された。ベレムナイトはジェレツキー博士の鑑定によりParahastites ? sp.といえる。以上の三者の共通の生存期間は中期ジュラ紀であり, 調査された地層の主部は中部ジュラ系を含むと考えられる。得られた化石の保存はよくないが, 化石産出層の岩相及び構造上の位置をあわせ考えると地史考察上貴重な資料となるので, 図示し記載した。
著者
藤本 治義 猪郷 久義
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編
巻号頁・発行日
vol.1955, no.18, pp.45-48_1, 1955

飛釋山地福地附近に発達する一の谷石灰岩から紡錘虫の一新属を発見したので, Hidaellaと命名し. こゝに報告する. 本属は<I>Fusulinclla</I>によく似ているが, 穀壁が強く褶曲している点から区別できる. 模式種<I>Hidacllakamcii</I>は一の谷石灰岩中部に豊富に産し. Fusulina属と共存する.
著者
甲能 直樹 長谷川 善和
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.162, pp.801-805, 1991-06-28
被引用文献数
3

埼玉県東松山市付近に分布する中部中新統神戸層下部の礫岩層より, イマゴタリア亜科に属する鰭脚類の臼歯化石が発見された。当該標本は歯冠高が低く, 歯冠の遠位舌側に極めて発達のよい歯帯を持つことなどから, セイウチ科のイマゴタリア亜科に属する鰭脚類の, 左上顎第2もしくは第3前臼歯と判断される。北太平洋沿岸域におけるこの仲間の記録としては, これまでに知られる限り最も古いものの一つとなる。当該標本は, 単離した1個の臼歯であるため属種を決定できないが, プロトコーンシェルフがよく発達していることや, 2歯根であるなど原始的特徴を保持しており, ほぼ同時代から知られているセイウチ類の祖先とされる, ネオテリウム類の臼歯に最もよく類似している。このことから, 当該標本は最古の鰭脚類であるエナリアルクトス類から, セイウチの系統に分かれた初期の仲間のひとつであったろうと思われる。
著者
田中 啓策 柴田 松太郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1961, no.42, pp.68-72_1, 1961

Toxasteridae科の<I>Aphelaster</I>には.これまでに南フランスおよびマジョルカの下部白聚系Hautcrivian階から産出する模式種<I>Aphelaster integer</I> (GAUTBIEK) だけが知られていた。本邦では.<I>Aphelastar</I>に属する.種が, Haulerlvio.Barrcmian階の下部物部川亜層群に相当する湯浅地方の有田層・山中地溝帯の石堂層・勝顔同川獄地の羽ノ油層および八代地方の八龍山層から産出する。したがって, 本邦での層序的産出範閉から.<I>Aphelaster</I>の生存期間はBarremianにまで延長されることがわかつた。日本産の種は, 前歩帯・対歩帯の特徴によって明らかに模式種と区別される。したがつて, 本邦産の種を新種とみとめ<I>Aphhelaster serotinus</I>と命名する。さらに, <I>Aphelaster</I>を由来せしめた<I>Toxaster</I> (<I>Eotoxaster</I>).Hauterivian期の<I>Aphelaster</I> Barremian期のAphelasterの系列における形態的変化から, 日木産の種は, より進んだ特徴を具えていると考えられる。
著者
棚部 一成
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1975, no.99, pp.109-132_1, 1975

北海道中軸北部達布地域のチューロニアン(Inoceramus hobetsensis帯)から連続的に採集された16サンプルに, 南樺太内淵地域および北海道中部の大夕張地域産の8サンプルを加えた計24サンプル, 約150個体のOtoscaphites puerculusについて正中断面, 横断面での詳細な形態解析を行なうとともに, 保存のよい数個体について実際に体積を測定し, 近似的に殻の浮力を算出した。その結果, 殻口に顕著なラペットのある成年殻のフラグモコーンの直径および5.5π以降の全回転角に対するら環の半径のアロメトリーの成長比は, 時間的に増加するが, 逆に正常巻きに補正した住房の長さは1.6πから1.2πに減少することがわかった。また半径に対する隔壁および腹壁の厚さのアロメトリーの成長比についても時間的に浮力の増大したことを示す。浮力計算の結果, 下位層準の標本ではフラグモコーンに水が入らない状態でも, 全体の比重は水より大きくなるが, 上位層準の標本ではフラグモコーンに約30~47%水を入れた状態で殻の比重は水と等しくなる。これらの事実から本種は上述の形態変化に伴って成年時の生活様式を底生から浮遊ないし遊泳性に変えたものと思われる。また下位層準のサンプルでは, ら環のほどける約1π前(約7.5π)付近から腹壁および隔壁の厚さが急に厚くなるから, 個体発生中に生活様式を遊泳・浮遊性から底生に変えたことが推定される。
著者
増田 孝一郎
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編
巻号頁・発行日
vol.1971, no.84, pp.205-224_1, 1971

AmussiopectenはSACCO(1897)によって提唱されて以来, 世界各地の第三系から多くの種が報告された。しかし, 北米および南米からはその存在が既に予想されていたのにも拘らず(Cox, 1942), 従来Amussiopectenの報告は全くなかった。今回筆者は, COXの予想に基き, 北米・中米・南米のPectinidaeについて詳しく検討した結果, AmussiopectenがLate OligoceneからMiddle Mioceneにかけて, 南北アメリカ大陸に広く分布していたことを確認することができた。すなわち, 既知種ではカリフォルニアのPecten vanvlecki ARNOLD (1907), 西インド諸島のPecten antiguensis BROWN(1913), コスタ・リカのPecten preglyptus OLSSON(1922), ベネズエラのPecten churuguarensis F. and H. HODSON(1927)などが, 明らかにAmussiopectenに属するものであることが判った。さらに, Amussiopectenの新種をプエルト・リコ, トリニダッドおよびメキシコから3種発見した。この中, メキシコからの1種は個体数が少なく, 保存も余り良好でないので新種の記載は差控えた。AmussiopectenはFlabellipectenに属するものであると考えている学者がヨーロッパには少なくないので, その分類の混乱は甚しい。しかし, 両者は画然と区別されるべきものであると筆者は考えている。本論文ではAmussiopectenの特徴を詳しく論じたほか, 類似属との関連, 既知種および新種の記載と相互の関連, およびAmussiopectenの古生物学的意義を論じた。