著者
平野 弘道
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.90, pp.45-71, 1973
被引用文献数
1

豊浦層群産のアンモナイト10種を記載し, これにより, その1よりひき続いたアンモナイトの記載をすべて終了した。本層群の時代は, アンモナイトならびにイノセラムスより, SinemurianからBathonianに及ぶと結論される。アンモナイト化石を多産する西中山層は, 下位よりFontanelliceras fontanellense帯, Protogrammoceras nipponicum帯, Dactylioceras helianthoides帯の3帯が識別される。これらは, 調査地域の北半では松本・小野(1947)の3帯に各々相当するが, 南半では特にその下半部が岩相とかなり斜交することが明らかである。欧州標準地域と類縁種に基づき比較すると, F. f.帯はMargaritatus帯のStokesi亜帯からSpinatum帯の下部に, P. n.帯はSpinatum帯上部からFalcifer帯に, D. h.帯はFalcifer帯のExaratum亜帯からBifrons帯のFibulatum亜帯に対比される。本層群のアンモナイト動物群は, 種数個体数ともにHildoceratidaeの優越で特徴づけられる。これをSIMPSONの公式により他域のものと比較すると, Domerian亜階の動物群はシシリー島のものに, 一般には地中海地方のものに高い類似度を示す。Whitbianでは欧州各地と等しく高い類似度を示し偏りがない。Yeovilianではコーカサス地方のものとのみ, かなり高い類似度を示す。北米西部から本層群のDomerianとWhitbianのものに比較されると報告されたものは, 動物群としてみた場合さほど高い類似度を示さない。本層群および北米西部のアンモナイト動物群はともに地中海系の特徴をもつが, 欧州で広くみられるような岩相と生相の一定の組合せを示さず, ボレアル系の堆積物より産する。

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