- 著者
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野尻 亘
- 出版者
- 経済地理学会
- 雑誌
- 経済地理学年報 (ISSN:00045683)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.2, pp.136-154, 1993
- 被引用文献数
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本稿の目的は, 1980年の運輸省の地域貨物流動調査のデータを因子分析等を用いて分析し, 全国陸上輸送体系である鉄道コンテナと路線トラックの貨物流動の空間的構造を明らかにし, それらについて各々の輸送手段の特性との関連から考察を加えることにある. クロス集計によれば, 双方の輸送手段ともに東京・大阪・愛知・福岡・北海道に発着が集中している. しかし路線トラックの方がコンテナよりも発着地ともに分散傾向にある. 最大流直接連結法によって, コンテナでは東京・大阪・北海道・福岡を中心とする広域的な流動が, 路線トラックでは東京が東日本全体の, 大阪が西日本全体の発着の中心となっている2大構造が明らかとなった. さらにRモード因子分析の結果を総合すれば一層興味深い流動パターンが現れた. コンテナの場合, 東京と全国間, 大阪と東北・関東・四国・九州間, 北海道から関東・東海・近畿間, 福岡と東京・大阪間という流動パターンが認められた. 路線トラックの場合には, 東京と南東北・関東甲信越および近畿間, 大阪と関東・近畿・中国・四国・九州間, 愛知と近畿・東海・北陸・関東間, 福岡と九州各県間, 宮城と東京および東北各県間, 広島と大阪および中国各県間, 北海道内といった流動パターンが認められた. Rモードの因子得点をクラスター分析した結果,コンテナでは東京・大阪・愛知・北海道が, 路線トラックでは東京・大阪・愛知が各々重要な発送の中心地であると認められた. 路線トラックは各広域拠点都市を中心としたブロック域内の輸送が中心であるのに対して鉄道コンテナはトラックよりも長距離の広域拠点都市間の輸送を補完するものとして機能している. しかし本研究では貨物流動に因子分析を適用することについての問題点も浮かび上がった. そのため物流に関する研究とも関連させながら内外の方法論について展望し検討を加えた.