著者
宮澤 仁
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.44-57, 1996-03-31

本稿は, 長崎県五島列島の岐宿町を事例にして, 離島における消費者購買行動の考察を目的とした. 岐宿町における購買行動調査から, 低次財ほど岐宿町内で購入され, 高次財になるにつれ福江市内へ購買先が移る傾向がみられた. また, 離島という地理的な位置を反映した特徴として, 時間的・経済的制約をともなう島外都市での購買が高級品に関して顕著にみられた. さらに, 衣服類の購買に通信販売を利用する世帯が多かった. このような岐宿町における購買行動を規定している要因を数量化II類によって検討した結果, 購買機会の分布と女性の就業する産業が強く影響していることが明らかになった. 前者は, 福江島内の高次財の購買機会の少なさが影響していた. また後者に関しては, 女性の就業と他の生活活動との関係が認められ, 職業特有の就業時間や従業地, 自宅や従業地と購買先の位置関係などが購買行動に影響を与えている. 近年, 岐宿町内では高次財の購買が困難になっており, 福江市への依存傾向が強まっている. さらに, 島内での購買では十分な充足感が満たされない, または購買が不可能な財については, 購買を島外に依存せねばならない. その際には, 離島の「隔絶性」が大きな制約となっている. 通信販売の利用は, 購買のための時間不足と購買機会の減少に対処するための現実的な購買選択肢となっている.

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離島の隔絶性が財の到達を制限してくれるので、買い物調査から面白い結果が導けそう!ただ、大巡検で離島に行きたくない。 https://t.co/Kt6igNLcZR

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