- 著者
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平 篤志
- 出版者
- 経済地理学会
- 雑誌
- 経済地理学年報 (ISSN:00045683)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.196-214, 2001-09-30
- 被引用文献数
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本研究は, ソウル大都市圏における日本系企業の立地展開の特徴を立地パターンと企業属性から明らかにし, 立地戦略を説明することを目的とする.韓国に対する日本からの直接投資は, 1960年代後半以降増加したが, 日本系企業の過半数は円高が進行した1985年以降に設立された.1999年現在, 韓国の日本系企業の大部分はソウル大都市圏に立地し, そのうち72%はソウル市内に存在する.ソウル市内では, ハンガン南岸域, 特にカンナム, ソチョ区が立地の中心地域となりつつある.業種別では, 製造業はソウル市内と郊外地域の双方に展開しているのに対して, 1990年代に入って企業数が急増したサービス業はそのほとんどがソウル市内に立地している.主要な立地要因は, 当該都市圏における取引先企業の存在と販路拡大である.取引先企業は, 製造業, サービス業ともその過半数が現地韓国企業で占められ, 取引の現地化はかなりの程度進行している.一方で, 最高責任者の現地化は, 韓国政府による規制緩和政策を受けた設立形態の変化, すなわち日本側100%出資形態の増加に影響されて進んでいない.従業員数は1990年代後半に入って, 製造業において減少, サービス業において増加傾向にある.従業員の大部分は現地採用の韓国人である.事務所の運営に関しては, 日本側100%出資企業と比較して, 合弁企業では日本統括本社の域外支配は弱く, 企業としての自立性が高い.総体的に, ソウル大都市圏の日本企業は, 現地企業の立地変化に敏感に反応しながら選択的に現地化戦略を導入している.