著者
小泉 銘冊 久原 重松
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.620-627, 1984-12-25
被引用文献数
2 3

1965年頃からわが国西南暖地のカンキツに発生したにせ黄斑病の病原を究明するため, 各地から採取した罹病葉の生切片を懸滴培養した結果, 数種の酵母様微生物および細菌を得た。これらをナツミカン葉に葉肉注射接種した結果, 酵母様微生物の一部菌株が病原性を示し, 接種部は黄変症状を呈した。ウンシュウミカン未硬化葉に噴霧接種した結果, コロニー性状が異なる2種類の酵母様微生物のみ病原性を示した。その一つ (No. 3, 4, 6菌株) は病原力が強く, 左右非対称の射出胞子を形成し, 鮭肉色コロニーで菌糸を作らず, 専ら多極出芽で増殖することから Spobolomyces sp. と考えられた。他の菌株 (No. 10) は鹿児島県果樹試験場からの分譲菌株 (Ta-7415) と同一種で, 両者とも病原力は弱い。その特異的形態の菌糸から Aureobasidium sp.と同定した。噴霧接種での病原力や薬剤感受性の違い, 圃場での感染時期と生態的特性に関する既往の知見などから, Sporobolomyces sp.が主たる病原体と推定された。

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