著者
坂本 竜基
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 2004-01-01

ユビキタス環境に関する研究とともに,そこでセンシングされた情報を活用した断片的なコンテキストの提示を行うコンテキストアウェアに関する研究がなされてきた.しかし,既存の研究においては,継時的なコンテキストの提示やその共有化に関する議論があまりなされていない.これに対して,本研究では,人間の行動を継時的なコンテキストとして捉えた図的表現および共有化の達成を主眼としている.まず,コンテキストの継時的表現物は,自身のコンテキストの把握を促し,意思決定や記憶保存に対して有用であると予想できる.また,その表現物の共有化によって支援される他者のコンテキストと自分のそれとの関係把握は,行動や事象のパースペクティブな把握につながると予想できる.本論文では,ある程度まとまった時間的範囲内の継時的なコンテキストを図示し,それを共有化する表現手法を2種類提案する.一つは,ハイパーリンクを辿るWebブラウジングという行為について,現在閲覧しているHTML文章とそこに至るまでに辿った道筋およびその周辺に存在するHTML文章群をコンテキストとして,グラフ描画の範疇で表現する手法である.この手法は,従来の一人で行ってきたWebブラウジングを複数人で協調的に行えるようにするシステムへ応用することができる.もう一つは,実世界の日常生活におけるコンテキストを漫画という表現形態を用いて示す手法である.これは,個人化された展示ガイドシステムのログデータを入力として,展示会場における体験を漫画によって表現するシステムヘの応用が考えられる.

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