- 著者
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竹下 政孝
- 出版者
- 日本宗教学会
- 雑誌
- 宗教研究 (ISSN:03873293)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.2, pp.295-320, 2004
トルコの大衆紙『タクヴィーム』に毎日連載されているゼケリヤ・ベヤーズのコラム、「あなた方の質問への回答、本当のイスラーム」に、二〇〇〇年一〇月から二〇〇一年八月の期間に掲載された読者からの質問約五〇〇問の内容を分析することによって、トルコの民衆がイスラームに対してどのような意識・関心をもっているかを探った。質問が圧倒的に集中しているのは、儀礼行為に関するものである。その他に、ある事柄が、罪であるか、あるいは許されているかを問う質問も非常に多い。義務の儀礼行為は正しく履行されなければ罪となるので、質問の半分以上が罪に関するものであるといえる。罪を犯すことへの強い懼れは、死後の審判に対する確固たる信仰に由来する。また、質問の多くに、イマームの言葉が引用されることから、トルコの民衆の宗教生活に占めるイマームの役割の大きさを窺い知ることができる。