著者
後藤 真平 林田 光祐
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.1-8, 2002-02-16
被引用文献数
3

日林誌84:1〜8,2002山形県東大鳥川の河畔林において,2年間にわたるオニグルミ堅果の散布実験とオニグルミ全個体の分布調査を行った。3調査区のそれぞれの中心に置いたマーキングしたオニグルミ堅果1,500個は両年とも約1ヵ月ですべて消失した。その後に発見されたマーキング堅果は7.1%であった。その96%はアカネズミとニホンリスによって食べられており,実生として発見されたマーキング堅果は26個で,敗布後3年目に発芽したものもあった。実生はすべて分散貯蔵,された堅果から発芽したと考えられ,3調査区内全域に広く,また川からの高低にかかわらず分布していた。調査地内に生育するオニグルミの個体も,川からの比高にかかわらず分布していた。以上のことから,河畔林のオニグルミ堅果はほとんどニホンリスとアカネズミの運搬・埋土によって散布され,融雪期の流水による流出は起こりにくいと考えられる。齧菌類による分散貯蔵の行動は河畔域でのオニグルミの更新に重要な役割を果たしていることが推察される。

言及状況

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こんな論文どうですか? 河畔域におけるオニグルミの齧歯類による種子散布と実生の定着(後藤真平ほか),2002 http://id.CiNii.jp/L2YWL

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