- 著者
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鈴木 雅一
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.6, pp.261-268, 1988-06-01
- 被引用文献数
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山地流域からの流出に与える森林の影響を評価するために, 流況曲線を用いて流況を定量的に比較する流況解析法を提案した。この解析法は, 安定した水利用の水準を示す指標として, 水不足量W_d, 水不足率W_d^*を流況曲線より定義し, 新たに導入された目標利水率α, 無次元貯水容量S_M^*に対する水不足率W_d^*のふるまいを調べるものである。桐生試験地, 竜の口山試験地, 油日の森林流域とゴルフ場芝地流域の流出記録にこの流況解析を適用し, 森林流域の流況安定と蒸発散量の関係について検討した。安定した水利用のために, 大容量貯水池と蒸発散抑制で対処する方策と, 降雨流出過程の出水遅延による流況の一様化で対処する方策がある。目標利水率αが大きく集約的な水利用をはかるとき前者の方策が, αが小さい領域では後者の方策が有効である。