著者
林 暎得 四手井 綱英
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.122-127, 1974-04-25
被引用文献数
6

アカムツの種子におよぼす動物の影響に関する調査を上賀茂の京大演習林, 滋賀県の日野町有林と田上国有林および京都府立大の大枝演習林で1972年7月から1973年6月まで行った。林外・林縁および林内で発芽率の差は見られなかったが, 林外では稚樹の発生は林縁や林内にくらべてはやかった。天然更新稚樹の本数密度は林縁から林内に入るにしたがって減少していた。林内の動物の影響は種子の密度と関係なく常に高い被食率(90〜100%)が詔められた。一方, 林外や林孔の場合には密度の増加にしたがって被害も大きくなった。林縁から林内に入るにしたがって動物による被害は大きくなった。そしてこのことが林内で稚樹が少ない一つの原因ではないかと思われる。調査地において林内の動物の影響は林縁・林外・林孔にくらべて常に多かった。そして動物による被害の内訳をみると鳥によるものが一番多く, 次にノネズミ, そして土壌昆虫の順であった。昆虫の影響はわずかであった。現在まで帯状皆伐はアカマツの天然更新の作業法として推奨されてきたが, 動物による被害のあらわれ方からみても有利であろうと考えられる。すなわち帯状伐採地は光条件を良くすること以外に種子に対する動物の影響を緩和することによってアカマツの更新を容易にしていると思われる。

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