- 著者
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横井 秀一
山口 清
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.1, pp.15-19, 2000-02-16
- 被引用文献数
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5
積雪地帯では, スギ不成績造林地の発生による経済的な損失と林地の公益的機能の低下が問題となっている。そこで, 既存のスギ人工林の成林状況(成林度)に影響する立地環境を解析し, 造林限界の再検討を行った。調査は岐阜県飛騨地方の最深積雪1.0〜3.0mの地域で行い, 成林度と立地要因の関係は数量化I類を用いて解析した。成林度に最も強く影響した要因は最深積雪で, 積雪深が大きいほど成林度は低くなった。成林度の出現頻度分布を最深積雪深ごとに検討した結果, スギの造林は最深積雪1.5m未満で可能, 2.5m以上では困難であると考えられた。最深積雪1.5〜2.5mの地帯では, 最深積雪とともに斜面の傾斜と縦断面の形状が成林度に影響し, 急傾斜や凹地形の斜面で成林度が低かった。したがって, この地帯でのスギ造林では, このような地形を避ける必要があると考えられた。