著者
黒岩 菊郎 吉野 連一 高橋 五良
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.139-145, 1958-04-25
被引用文献数
1

われわれは東京農工大学農学部校庭(東京都府中市)にある2本のキリの半径の日変化を, 前報に示した鏡成長計によつてはかり, 4月から11月までの成長期間中28回の観測を行つた。拡大の倍率は約14,000倍であつた。1. 2本の木はほとんど平行的にその半径を常に変えている。2. 夜間の曲線はなめらかであるが, 昼間はでこぼこが多い。3. 日の出の頃肥大はおとろえ, 午前中に極大に達し, 急に縮小しはじめ, 極小になるのは午後3時前が多く, 上昇しはじめるのは午後3時ごろである。4. 曲線の形は温度曲線と似ている。5. 曲線の形は0時を基点とすれば, 晴天の日はN字形, 雨天は直線形, 曇りの日はこの中間で階段状をなすものといえる。6. 曲線のでこぼこはすべて水分の変動によるもので真の肥大成長は昼夜の別なく一様に進んでいると思われる。7. 昼間の細かい曲線のでこぼこは陽光の強さと密接な関係があり, 陽光があれば幹はちぢみ, 弱まると肥大しはじめる。この反応は10分以内にあらわれ, このための変動の量は約10 μ程度である。8. 成長期間中の日成長量はその日の平均気温(最高, 最低の平均)との間にかなり高い相関関係が認められた。雨量との間の関係は明らかでない。

言及状況

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こんな論文どうですか? キリの日肥大成長曲線〔II〕 : 成長期間中の変化,1958 http://ci.nii.ac.jp/naid/110002838614

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