著者
小嶋 卓 松林 美弥子 清 千和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.62-63, 1989-03-15

計算機内部の浮動小数点数の表現はパソコンやワークステーションを中心にIEEE規格が定着し、この規格のFPUが普及期に入っている。次々に発表されるマシンはIEEE規格を採用しており、ここしばらくはIEEE規格の時代が続きそうである。IEEE規格の浮動小数点数は、指数部が若干長くなったものの、長さが一定であることには変わりなく、いくつかの問題ではオーバーフローやアンダーフローが起こりうる。このことを解消するため松井、伊理の方式や浜田の方式が提案されている。これらの指数部と仮数部の境界可変型の浮動小数点数はソフトウェアで実現すると実用的な速度にならず、ハードウェアの実現が必要不可欠である。これらの方式が普及するかどうかは、次世代の規格に取り上げられるかどうかにかかっていると言えよう。そこで、現行のハードウェアを前提として、ソフトウェアでオーバフローやアンダーフローのない実用的な計算環境を実現するにはどうしたら良いかについて考察し、以下に述べるような効率の良い実現をみた。この報告では前回より次の点が新しい。(1)プログラムの改良による高速化がなされたこと。(2)入出力や定数設定や比較など非数への完全対応が取られていること。(3)IEEE規格でないマシン上でも動作するように非数の演算表を持たせたこと。(4)新しい浮動小数点数を含む式が書けるようにデータ抽象化機能のあるC++への対応部分を作成し、速度の点を考慮して初等関数等の中はC版で、一般のプログラムはC++版で書くことにした。

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