著者
酒井 三四郎 陸野 慶人
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.29-30, 1993-09-27

プログラミング教育の分野において,初心者である学習者の作成したプログラムに含まれる意味的エラーを自動的に発見しようとする試みについて述べる。熟練したプログラマはいろいろな場面ごとに有用となるプログラミング技法を多数身に付けており,プログラム作成に際して積極的に活用しようとする。したがって熟練者の書いたプログラムは一定の形式をしており,ミスが少なく理解しやすい。これに対して,初心者はそのような技法を知らないので,必要な都度プログラミング言語によって表現を工夫している。したがって表現に一貫性がなく,ミスが生じやすく理解しにくいものになる。そこで,初心者のプログラムを熟練者の書いた良い購造のプログラムと比較して,誤りがあるか否か,誤りがあればどこにそれが存在し,何がその原因であるかを検出・同定することは重要である。意味的なエラーを発見するためにはシステムは「正しいプログラム」に関する知識を必要とする。エラーを発見する戦略やその結果はこの知識をどのようにして与えるかに大きく依存している。LAURAは正しいプログラムに関する知識をソーステキストの形で持ち,学習者のソーステキストと静的に比較している。多様なプログラム表現を標準的な表現に変換する高度な機構を持っている。しかし,得られた結果は文単位の差でしかないためにエラーの意味付けや原因推定,学習者への助言能力に限界がある。一方,PR0USTはある特定の問題を解決するためのアルゴリズムに関する完全な戦略と,エラーも表現したプログラミング技法(プラン)に関する知識をもとに高度な診断を行った。我々のアプローチは,教材作成者に負担をかけずにできるだけ多くの問題に対して診断ができるように,問題に依存するプログラム知識として,教師の書いた模範プログラムを用いる。また,多くの教材プログラムを通して学習者に教えようとする普遍的なプログラミング技法に関する知識をプランとして持つ。これらの知識を用いて学習者のエラーを含んだプログラムを診断する。

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こんな論文どうですか? プランを用いた学習者と教師のプログラムの比較,1993 http://ci.nii.ac.jp/naid/110002884319

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