著者
樋口 慶郎 井上 亜希子 坪井 知則 本水 昌二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.253-259, 1999-02-05
参考文献数
15
被引用文献数
4 13

ガス透過分離におけるガス透過の長期間の安定性と高効率化, 更にガス透過効率の長期間の再現性を向上させた, 新しいオンラインガス透過システムを構築した. このシステムでは新しく設計・製作したガス透過ユニットを組み込み, ユニット中を溶液が下方から上方に流れるようにし, 気泡の発生を防ぐ工夫がほどこされ, 更に測定後にガス透過ユニット内に滞留する溶液を排除するために2個の六方切り替えバルブを内蔵させている. ガスの安定的透過のために温度制御できる小型恒温槽を装着した. この装置中にガス透過ユニット, アンモニウムイオン定量用の反応コイルなどを組み入れ, 精密測定の向上を目指した. ガス透過ユニットは, 多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブとガラス管からなり, 接続には樹脂製フェラル及びO-リングを用い, 組み立てを容易にし, デッドボリュームも小さくした. ガス透過ユニット, 反応コイル及び試料注入器などを恒温槽の中で一定温度に保つことにより, 安定した再現性の良い測定が可能となった. ガス透過ユニット内に滞留する溶液を簡単かつ迅速に強制排除する機能も備えており, 測定後はガス透過ユニット中の溶液を除いておくことにより, 多孔質チューブの透過性能が長期間維持され, 再活性化の操作をすることなく, 高いガス透過効率を維持することができた. 本システムを用いると, 検量線は0〜10, 0〜1.0ppmの範囲で良好な直線性を示し, 1時間当たり80試料の分析が可能となった. 実際に, 河川水中のアンモニウムイオンの定量を行ったところ, インドフェノール誘導体/FIA/吸光光度法による定量値と良く一致し, 試料に対する相対標準偏差は0.51, 0.83%で, 回収率は97〜98%と良好であった.

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こんな論文どうですか? 精密分析用ガス透過システムの設計とガス透過/フローインジェクション法によるアンモニア態窒素の吸光光度定量(樋口 慶郎ほか),1999 https://t.co/B8yQd8kYKL
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