著者
遠田 浩司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.641-657, 1996-07-05
被引用文献数
1

レーザー光第二高調波発生(SHG)及び分子プロ-ブを用いる新しい手法によって, イオン選択性電極(ISE)液膜界面における電位応答機構を分子レベルで解釈する研究を行った.イオノフォア含有ISE液膜/試料水溶液界面にレーザー光を照射することによりSHGが発生し, その強度が試料水溶液中の目的イオン濃度が増加するに従って増加することを見いだした.この結果は, 生成した陽イオン-イオノフォア錯体がISE液膜界面で配向しSHG活性種となっていることを示唆している.又, ISE液膜の目的イオンに対するSHG強度変化と膜電位変化との相関より, 膜界面で配向したSHG活性な錯体陽イオン種が主に膜電位を支配していることを明らかにし, SHG強度より見積もった界面電荷密度に基づいて解析した.更に, 膜電位と界面電荷密度の関係を定量的に調べるために, 光照射によって膜の状態を一切変えることなく, 膜中のイオノフォア濃度及びそのイオノフォアに配位するイオンとの間の結合力(錯体安定度定数)を変化させることができる光応答性イオノフォアを分子プローブとして利用し, 光で誘起された膜電位の絶対値及び電位応答勾配の変化量を, 液膜界面での錯形成平衡を考慮した拡散電気二重層に基づく界面モデルを用いて定量的に説明した.

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