- 著者
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市田 昭人
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.8, pp.613-625, 1997-08-05
- 参考文献数
- 40
- 被引用文献数
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溶解・再析出を経験した三酢酸セルロースを粉末化あいはシリカゲルにコーティングした固定相でも光学分割能を示す.その光学分割能は微結晶三酢酸セルロースで重要視された天然セルロースが持つ結晶構造には依存しない.酢酸セルロース分子鎖の立体構造の規則性が重要であり,シリカゲルに担持させる際に三酢酸セルロースを溶解させるために用いる溶媒に左右される.セルロース,アミロース誘導体を用いた固定相では多数の化合物が分割されるが,それぞれ分割される化合物には違いがある.多糖に導入する置換基の構造よりも,多糖主鎖の構造の違いのほうが光学分割能に大きな差異を示す.カラム法による光学活性体の生産規模での分離には,シングルカラムを用いるバッチ式よりも試料の注入と分離成分の抜き取りを連続的に行うSMB法が高い分離効率を示し,工業規模での生産プロセスへの応用研究が急ピッチで進められている.