- 著者
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大手 信人
鈴木 雅一
小橋 澄治
- 出版者
- 日本緑化工学会
- 雑誌
- 日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.4, pp.20-30, 1990-07-20
- 被引用文献数
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4
中国, 毛烏素沙地における緑化樹種, 旱柳(Salix matsudana Koidz.)の生育形態に及ぼす土壌水分条件の影響を考察するため, 気象観測データから土壌水分条件と蒸散特性の経時変化を推定する数値計算モデルを考案した。本モデルは, (1)沙地面蒸発-乾砂層消長モデルと, (2)土壌水分・根系吸水分布モデルからなり, (1)により算定れる沙地表層以下への浸透水量を入力とし, (2)によって水分と根系の吸水特性の鉛直分布と蒸散量を算定する。1986年から日中合作による沙漠緑化研究の一環として現地観測されている, 微気象, 土壌水分, 沙地面蒸発, 旱柳の蒸散特性等のデータを基に, 本モデルによって地下水面位置の異なる2ヶ所に生育し, 体制や葉面の組織が異なる旱柳の, 乾燥期における土壌水分消費特性の経時推定を試みた。両者の形態の相違は, 各々の立地における水分環境への適応の結果と考えられ, 地下水面から毛管上昇によって水分が根域に供給されるか否かで形態に大きな相違が現れると考えられた。また推定の結果, その適応戦略は両者とも乾燥期に吸水阻害を最小限に抑えうるものと考えられた。